「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　テラス大井町

[所在地] 〒140-0011 東京都品川区東大井３丁目２２−３

 標高・地形

●標高約2m～5m、立会川沿いの「切土地(一部、谷底低地)」です。
●多少の高低差がある土地ですが、大規模な擁壁の築造等は視認できず、大きな傾斜地リスクはないのではないかと推察します。
●また、対象地は、12万年前～16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか？

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.33～1. 34”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●北方にある調査地点では、
▼深度7mほどまでN値1～2の柔らかい地層が続きます。
▼それ以降、N値10ほどの地層が深度約26mまで続きます。
▼支持層に到達するのは、深度約27m超となるようです。
●柔らかい地層が地中深くまで続き、支持層が深いので、地盤の良い場所ではありません。
●当該地点も、対象地と同じく表層地盤増幅率が”1.34”のメッシュに入ります。表層地盤増幅率が低い理由を、この地点の柱状図から窺うことはできませんでした。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

●[中小河川氾濫及び内水氾濫]敷地の一部に約0.5mの浸水可能性が指摘されています。
●[高潮浸水]敷地内の浸水可能性は指摘されていませんが、敷地境界付近まで浸水する想定がされています。
●対象地は立会川沿いの立地であり、予想外の大雨や高潮、津波の際には、ハザードマップの想定を超えて浸水する可能性も考えられます。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2008年10月竣工の低層SRC(一部RC)造建物(地下1階地上5階建)です。
●施工会社は、スーパーゼネコンの「竹中工務店」です。
●低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

 接面道路

●西側区道(幅員約5.3m～5.6m)に接面している中間画地です。
●この西側接面道路は一方通行路ですが、国道15号線との接続経路において、幅員5m超を保つことは容易であり、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「東大井3丁目」の地域危険度は”３”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で”１”が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、東大井3丁目は10件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●埋没谷の範囲に該当する、川沿いの谷底低地を含む切土地に位置します。
●近隣のボーリング調査も良い結果ではありません。
●立会川沿いであり、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。
●低層SRC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いです。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

⇒埋没谷の範囲に該当する、川沿いの谷底低地を含む切土地に位置し、近隣のボーリング調査も良い結果ではなかったので、地盤リスクの大きな場所であると判断します。浸水可能性の指摘は約0.5mにとどまっていますが、川沿い立地であることから浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力は“レベル３”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。