【防災力:3】パークシティ大崎 ザ タワー

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークシティ大崎 ザ タワー

[所在地] 〒141-0001 東京都品川区北品川5丁目3−1

防災力 Level 3
地盤 []直接基礎
浸水 []約2.3m、氾濫浸水区域内
建物 []制震構造、タワー形状の高層建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約3m~4m、目黒川に近接する谷底低地です。
最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当します。こちらも、大地震の際の揺れが大きくなる可能性を示す兆候です。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.4”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れを小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
東側で隣接する調査地点では、
深度5m過ぎにN値10を超え、深度14m過ぎまでN値10ほどの地層が続きます。
支持層の深さは15m余りのようです。
地下水位の下に砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性が高いです。
本件マンションの公式ホームページに、深さ約15m~16mの支持層に「直接基礎」で建てられている旨の記載があります。
液状化の懸念はありますが、「直接基礎」が採用され、支持層が比較的浅いことも把握できるので、マンション用地として大きな地盤リスクはないと判断します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約2.3mの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、赤い線で表示される「目黒川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置しています。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2015年4月竣工のRC造地下2階地上40階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「西松建設」です。
制震構造ですが、縦長のタワー型高層マンションです。
タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワー形状の高層建物というだけでマイナス評価とします。
制震構造を採用している建物なので、損壊リスクは低いですが、災害リスクは残ると判断します。

【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)

 接面道路

西側(幅員約16m)、南側(幅員約6m)の2本の区道に接面する角地です。
接道部分では、敷地後退をして歩道を整備・拡張しています。
周辺にある幹線道路等との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「北品川5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、北品川5丁目は21件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
小学校が隣接しているので、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

沖積層及び埋没谷のエリアに該当し、表層地盤増幅率もかなり高い、目黒川に近接する谷底低地に位置します。
「直接基礎」で建てられ、ボーリング調査でも支持層が比較的浅いことが把握できます。
目黒川の氾濫浸水区域内に位置し、約2.3mの浸水可能性が指摘されています。
制震構造ですが、タワー形状の高層建物なので、災害リスクは残ると判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「直接基礎」が採用され、ボーリング調査でも支持層が比較的浅いことが把握できるので、大きな地盤リスクはないと判断します。目黒川の氾濫浸水区域内に位置し、約2.3mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは大きいです。制震構造ですが、タワー形状の高層建物なので、災害リスクは残ると判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。