【防災力:4】オパス有栖川
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 オパス有栖川
[所在地] 〒106-0047 東京都港区南麻布5丁目4−1
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]傾斜地、ボーリング調査が良くない |
浸水 | [5]浸水可能性の指摘なし |
建物 | [4]どっしりとしたSRC造建物 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約25m~29m、台地の端にある傾斜地に位置します。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、南西側隣地(通路)との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.56”です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺の同地形(台地)にある調査地点では、
▼深度22m~23mほどまでN値10以下の地層が続きます。(N値5以下の柔らかい地層も多いです)
▼支持層の深さは24m~30mほどのようです。
▼埋没谷の影響は大きくないと思われます。
▼地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の可能性もないとはいえません。
●地中の深いところまで柔らかい地層が続き、支持層も深いようなので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
浸水可能性は指摘されていません。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2004年2月竣工のSRC造地下1階地上11階建です。
●施工会社は、スーパーゼネコンの「竹中工務店」です。
●複雑な形状ですが、どっしりとしたSRC造なので、建物自体に大きな損壊リスクはないと判断します。
接面道路
●北側(6m~13.6m)、東側区道(幅員約17m)、南側私道の3本の道路に接面する3方路地です。
●東側区道は片側一車線が整備された道路であり、周辺の幹線道路との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
●北側道路は、「都市計画道路補助線街路第7線」として優先整備路線に指定されており、整備が完了すると幅員15mとなり、系統連続性は更に良好となります。(数十年後だと思われますが)
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南麻布5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南麻布5丁目は21件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
本マンションの総評
●台地の端の傾斜地に位置します。
●ボーリング調査で、深度20m過ぎまで柔らかい地層が続いていることが把握されます。
●浸水可能性は指摘されていません。
●どっしりとしたSRC造なので、建物自体に大きな損壊リスクはないと判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒傾斜地である上に、ボーリング調査で地中の深いところまで柔らかい地層が続いていることが把握されるので、地盤リスクは無視できないレベルで存在すると判断します。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。