【防災力:4】世田谷アインス美しの杜

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 世田谷アインス美しの杜

[所在地] 〒156-0055 東京都世田谷区船橋3丁目21−1

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、ボーリング調査は良好
浸水 []川筋に敷地の一部が掛かっている
建物 []少し複雑な形状
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約39m~44mの傾斜地です。地形的には「切土地」が大部分を占め、一部「台地」及び「谷地」も含みます。台地から谷地にかかる傾斜地です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率”1.43~1.49″です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8″以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6″以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
表層は、N値5以上あります。
深度10mほどN値2の柔らかい地層が挟まります。
柱状図に深度10m超までしか表記がなく、支持層の深さは把握できません。
周辺の調査地点を見ると、支持層の深さは11m~16mほどのようです。
表層面に問題がなく、支持層も比較的浅いようなので、地盤に問題がない可能性が高い場所です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地内で標高の一番低い東側境界の辺りに約0.6mの浸水可能性が指摘されています。
東側境界より標高の高い敷地部分に大きな影響を与えることはないと思われますが、敷地の東側は暗渠となっている烏山川の川筋なので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2003年2月竣工のRC造地下1階地上11階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」及びマンション建設に実績のあった「三平建設」の共同企業体です。
三平建設は、2008年7月に民事再生法を申請し、事実上倒産しましたが、本件建物の施工時期は、経営危機に陥っておらず、施工に問題はなかったと推察します。
建物の形状ですが、全体的にどっしりとした形状であることはプラスなのですが、上から見ると、敷地の形状に合わせて、少し複雑になっていることが気にかかります。シンプルな形状の建物と比較すると建物損壊リスクは多少なりとも増大すると考えます。

 接面道路

北・西・南の3方で幅員約6mの区道に接面しています。
車で対象地にアクセスするには西方からの経路しかないため、系統連続性は”普通”と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「船橋3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、船橋3丁目は5件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
高校が南側で近接しており、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

標高約39m~44mの台地から谷地にかかる傾斜地です。
ボーリング調査の結果は良好です。
敷地の一部に約0.6mの浸水可能性が指摘されています。
少し複雑な形をした建物であり、多少の損傷リスクを認めます。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いでしょう。

「傾斜地による地盤リスク」「浸水リスク」「建物損傷リスク」のそれぞれはさほど大きなものではないのですが、合わせてマイナス1として、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。