【防災力:3】ローレルコート新宿タワー

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ローレルコート新宿タワー

 

1.大地震が発生しても安全か

対地震 Level  2/5 (被災リスク大)
地盤ハザード [3/5]液状化に該当
地盤増幅率 [1/5]やや高いレベル
ボーリング [2/5]良いとはいえない
建物 [2/5]タワー形状の高層建物
【対地震の評価】
地盤
液状化エリアに該当し、ボーリング調査でも液状化の懸念は拭えず、マンション用地としては柔らかい地層が地中深くまで続くので、地盤が良いとはいえません
建物
タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。
〔対地震総評〕
地盤が良いとはいえない場所に建つタワーマンションです。大地震時に建物が損傷するリスクはそれなりにあると判断します。

[所在地] 〒162-0067 東京都新宿区富久町12−1

標高・地形

標高 27m前後
地形 谷底低地

暗渠となった紅葉川の流域です。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 液状化の可能性がある地域
沖積層 該当なし
埋没谷 該当なし
急傾斜等 該当なし

東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に含まれています。


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.69

都区内の武蔵野台地エリアではやや高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
北西方で近接する調査地点では、
深度9m過ぎまでN値3以下の柔らかい地層が続きます。
深度22m過ぎまでN値10前後のマンション用地としては柔らかい地層が続きます。
支持層の深さは、23m余りのようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の可能性は否定できませんが、柔らかい地層は少ないので、深刻な影響はないのではないかと考えます。
周辺には、深度9m~11mでN値50となる地点がみられます。それ以降、少し柔らかい地層が挟まりますが、深度14m~18mで再度N値50となります。
周辺には大きな問題のない地点がありますが、近接する地点では地中深くまでマンション用地としては柔らかい地層が続き、液状化の可能性もあるので、地盤が良いとはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

建物

築年 2002年10月竣工
構造 RC造地下2階地上32階建
施工会社 鹿島建設他
その他

縦長のタワー型高層マンションです。
タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワー形状の高層建物というだけでマイナス評価とします。
また、タワー形状の建物の場合は、築15年~20年経ったら、耐震診断も実施した方がいいようです。

【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  4/5 (大きなリスクなし)
標高 27m前後
立地 谷底低地
浸水深 [内水氾濫等]約0.2mの浸水可能性
【対水害の評価】
標高・立地
台地に挟まれた、暗渠となった紅葉川の流路である谷底低地に位置しており、大雨の際に水が集まりやすい地形です。
浸水深
内水氾濫等により約0.2mの浸水可能性が指摘されるにとどまります。
〔対水害総評〕
浸水可能性の指摘は約0.2mにとどまっていますが、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

3.その他の災害リスク

その他 Level  5/5 (特段の災害リスクなし)
接道状況 良好(角地)
系統連続性 良好
地域危険度 災害リスクが多少残る地域
その他

接面道路

北東側(幅員約9m~9.5m)、南東側(幅員約4m)の2本の区道に接面する角地です。
接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
外苑西通り(都道)及び靖国通り(都道)と近接しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「富久町」の地域危険度は“3”(※)となっており、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、富久町は57件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。

4.本マンションの総合評価

総合 Level  3/5
[対地震] Level  2/5 (被災リスク大)
[対水害] Level  4/5 (大きな浸水リスクなし)
[その他] Level  5/5 (特段の災害リスクなし)

地震リスク
液状化の懸念が拭えない上に、マンション用地としては柔らかい地層が地中深くまで続くので、地盤が良いとはいえません。その場所に建つタワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。
水害リスク
大きな浸水リスクなし
その他リスク
特段の災害リスクなし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年7月