【防災力:3】ライオンズプラザ久が原

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ライオンズプラザ久が原

[所在地] 〒146-0085 東京都大田区久が原5丁目14−14

防災力 Level 3
地盤 []沖積層、表層地盤増幅率が高い
浸水 []氾濫浸水区域内で、約1.7mの浸水可能性
建物 []シンプルとはいえない形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約5m~7m、呑川流域の低地に位置します。
対象地の一部は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.99~2.14”です。敷地のほとんどは、2.14のメッシュに含まれています。
都区内で、東部低地や埋立地エリアを除けば非常に高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がそれなりに高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
西方にある最も近い調査地点では、深度7m過ぎまでN値1の地層が続き、深度11m過ぎに固い地層となるものの、深度25mを超えても支持層には到達しません。
その他の周辺にある複数の調査地点では、表層は同様に柔らかいものの、支持層には深度17m過ぎに到達するようです。
表層面が柔らかく、支持層も深いことが推察されるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約1.7mの浸水可能性が指摘されています。
敷地は、赤い線で表示される「呑川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置します。
呑川の河岸とほとんど標高差がないため、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

1997年3月竣工のSRC造地下1階地上14階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「戸田建設」です。
建物は、上からみると三角形状で、北側を全体的に大きくセットバックしてあり、シンプルな形状の建物と比較すると多少の損壊リスクを認めます。
また、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。

 接面道路

南東側国道(幅員約25m)、南西側区道(幅員約7m)の2本の道路に接面している角地です。
第二京浜(国道1号)に接面していますので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「久が原5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、久が原5丁目は9件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
幹線道路である第二京浜(国道1号線)に近接していることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が非常に高い低地に位置します。
ボーリング調査も良くありません。
吞川の氾濫浸水区域内に位置し、約1.7mの浸水可能性が指摘されています。
建物はシンプルな形状ではないので、多少の建物損壊リスクを認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が非常に高く、ボーリング調査も良くないので、地盤リスクがそれなりにある場所だと判断します。呑川の氾濫浸水区域内に位置し、約1.7mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも顕在です。建物も、少々複雑な形状なので、多少の損傷リスクを認め、これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。