【防災力:4】ヒルハイツ文京春日

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ヒルハイツ文京春日


[所在地] 〒112-0003 東京都文京区春日2丁目22

防災力 Level 4
地盤 []急傾斜地崩壊危険箇所
浸水 []浸水可能性の指摘なしだが、氾濫浸水区域が近接
建物 []少し複雑な形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高7m~17m、台地から谷底低地に至る傾斜地に位置しています。地形的には「切土地」です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがあり得ます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
東京都建設局が公開している「土砂災害警戒区域等マップ」では、敷地の一部が「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されています。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [土砂災害警戒区域等マップ]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.36”です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南東方にある複数の調査地点では、
深度約2m~3mでN値30ほどの固い地層となります。
一旦N値50の固い地層となった後、N値20ほどの少し柔らかい地層が深度14mまで存在します。
支持層には深度約17m~18mで到達するようです。
支持層までは少し深いですが、地震時の揺れが増幅するようなリスクを感じない、地盤に大きな問題のない場所であると推察されます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。
ただ、南西側接面道路付近には、赤い線で表示される「神田川が氾濫した場合の浸水区域」が迫っており、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が発生する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2001年2月竣工のSRC造地下2階地上11階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「五洋建設」及び「西洋環境開発」です。
西洋環境開発は、2000年7月に特別清算開始を申立て、2005年に特別清算が終結し、法人格が消滅しています。本件建物の施工期間とこの特別清算手続き期間が重なります。ただ、五洋建設が参加していますので、施工自体に問題はなかったと判断します。
建物は、敷地の傾斜に合わせて階段状になっているなど、複雑な形状をしています。シンプルな形状の建物と比較すると、多少の建物損傷リスクを認めます。

 接面道路

南西側区道(幅員約11.1m)、北東側私道の2本の道路と接面している2方路地です。
春日通り(国道254号線)及び目白通り等へのアクセスは容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「春日2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、春日2丁目は18件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されている傾斜地です。
周辺のボーリング調査から、大きな地盤リスクに繋がる兆候は見出せませんでした。
浸水可能性は指摘されていません。
傾斜地に建つ、複雑な形状の建物なので、建物損傷リスクを多少認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

周辺のボーリング調査は問題ありませんが、「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されている傾斜地なので、地盤リスクを無視できません。建物も、傾斜地に建つ上に、複雑な形状となっています。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。