【防災力:4】シティハウス用賀砧公園

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 シティハウス用賀砧公園

[所在地] 〒158-0095 東京都世田谷区瀬田5丁目34−15

防災力 Level 4
地盤 []埋没谷、表層地盤増幅率がかなり高い
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []全体的にはシンプルかつどっしりとした形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高38mほどの台地に位置します。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.81”です。
都区内の武蔵野台地エリアではかなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
北西方にある調査地点:
表層面からN値3以上あります。
ただ、深度14m~28mに埋没谷の影響とみられるN値1~4の柔らかい地層が続いています。
支持層に到達するのは、深度33mを超えるようです。
南西方にある調査地点:
深度8mほどまではN値3前後の柔らかい地層が続きます。
ただ、深度10mほどで支持層に到達します。
北西方の地点は、埋没谷の影響もみられ、マンション用地として良い地盤ではありません。一方、南西方の地点は、マンション用地として悪くない場所です。
対象地の地盤に対する埋没谷の影響は、片方では顕著なので、否定することはできません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の一部に約0.2mの浸水可能性の指摘がありますが、標高や地形からみて、全体に大きな影響を与えることはないものと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2015年2月竣工のRC造地下1階地上11階建です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「前田建設工業」です。
建物は、全体的にはシンプルかつどっしりとした形状なので、損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

北側区道(幅員約9.7m~18.1m)、西側区道(幅員約5.3m~6.7m)の2本の区道と接面している角地です。
北側区道は、東名高速道路の高架下にある道路です。全体の幅員は、50m超ありますが、世田谷区の道路台帳に記載されている、対象地の北側に接面している部分の道路幅員は約9.7m~18.1mとなっています。
環八通り(都道)へのアクセスは容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「瀬田5丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、瀬田5丁目は10件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
東名高速道路沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

埋没谷の範囲に該当する上に、表層地盤増幅率がかなり高い場所です。
ボーチング調査でも、埋没谷の影響を否定できません。
大きな浸水リスクはないでしょう。
全体的にはシンプルかつどっしりとした形状の建物であり、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査でもその影響を否定できません。更に、表層地盤増幅率もかなり高いので、地盤リスクは無視できません。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。