【防災力:3】ブリリア大井町ラヴィアンタワー
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ブリリア大井町ラヴィアンタワー
[所在地] 〒140-0014 東京都品川区大井1丁目16-1
防災力 | Level 3 |
地盤 | [2]ボーリング調査でも埋没谷を把握 |
浸水 | [3]暗渠である川の流域 |
建物 | [3]免震構造、タワー形状の高層建物 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高12m余り、暗渠である立会川流域の谷底低地に位置します。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際、揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.39”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
周辺のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある調査地点では、
▼深度10m~11mほどでN値50超の地層となります。
▼固い地層が数m続いた後、柔らかい地層となり、N値10未満の地層が深度27m過ぎまで続く地点もあります。
●本件マンションの公式ホームページに、支持層の深さが約28mであるとの記載があります。
●複数の結果を保守的に捉え、埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が地中の深くまで続いている地点を重視し、あまり良い地盤ではないと判断します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●敷地の周縁部に最大約0.4mの浸水可能性が指摘されるにとどまります。
●南北の台地に挟まれた、暗渠である立会川と標高差がほとんどない(周辺で最も低い)谷底低地に位置します。
●浸水可能性の指摘は約0.4mにとどまっていますが、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2012年9月竣工のRC造地下2階地上28階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「五洋建設」です。
●免震構造ですが、縦長のタワー型高層マンションです。
●タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワー形状の高層建物というだけでマイナス評価とします。
●免震構造を採用している建物なので、損壊リスクは低いですが、災害リスクは残ると判断します。
【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)
【参考】東日本大震災から学んだのは「“想定”が少ない方が安全」(免震構造についての私見が含まれます)
接面道路
●北側都道(幅員約15m)、西側区道(幅員約15m)、南側区道(幅員約9.1m)、東側区道(幅員約6m)の4本の道路に敷地を囲まれた独立画地(4方路地)です。
●接道部分の一部では、敷地後退をして歩道の拡張等をしています。
●都道と接面しているので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「大井1丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、大井1丁目は144件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率が優良レベルの谷底低地に位置します。
●埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査でも、その影響を把握できます。
●周辺で標高が最も低く、台地に挟まれた、暗渠である立会川流域に位置するので、浸水リスクがないとはいえません。
●免震構造ですが、タワー形状の高層建物なので、災害リスクは残ると判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査でも、その影響を把握できることから、相応の地盤リスクがあると判断します。暗渠である立会川流域に位置するので、浸水リスクは顕在です。免震構造ですが、タワー形状の高層建物であることから、災害リスクは残ると判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。 (5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。