【防災力:4】ブリリアウェリス文京千駄木
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ブリリアウェリス文京千駄木
[所在地] 〒113-0022 東京都文京区千駄木5丁目3−12
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]液状化、ボーリング調査がいま一つ |
浸水 | [4]大きな浸水リスクなし |
建物 | [5]2011年竣工の中層RC造建物 |
火災 | [3]接道状況が劣る |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高21m前後の台地に位置しています。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地の一部が含まれています。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.33~1.34”です。
●都区内で優良レベルであり、地震の際の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●南西側隣地にある調査地点では、
▼表層でN値3以上あります。都区部の武蔵野台地エリアとしては問題ないレベルです。
▼その後、深度約11mでN値50超の固い地層となりますが、深度約15mで少し柔らかい地層となります。
▼この柱状図では支持層までの表記がなく、支持層の深さは把握できません。
●本件マンションの公式ホームページに、「約40m以深にある支持層」との表記があります。
●周辺に支持層の深さが40m近い調査地点があり、その地点では、深度36mほどまで、埋没谷エリアのようなN値10前後の柔らかい地層が続いています。
●支持層が深く、埋没谷エリアのような地層がある可能性があるので、地盤の良い場所とはいえません。
●また、周辺には、地下水位の下に砂質の地層が混在する地点がありますが、N値20超であったり、粘土質であったりするので、液状化リスクは大きくないと考えます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
敷地の周縁部に0.2mほどの浸水可能性が指摘されていますが、地形や標高から見て、敷地全体に大きな影響はないものと考えます。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2011年1月竣工の中層RC造建物(地上9階建)です。
●施工会社は、中堅ゼネコンの「飛島建設」です。
●4棟の建物がエキスパンションジョイント等で接合されているような形状です。建物上部が階段状になっていますが、中層RC造建物なので、損壊リスクは低いと判断します。
接面道路
●南側都道(幅員約11.3m)、西側区道(幅員約3m)、北側区道(幅員約2.3m~3.4m)の3本の道路と接面している3方路地です。区道との接道部分の一部では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●都道と接面しているので系統連続性は良好なのですが、西側接面区道は幅員3mを切る箇所もあり、北側の棟で火災が発生した場合などに緊急車両の到着・活動に支障がないか懸念されます。
●敷地周辺で十分に広い道路と接面している物件と比較すると、火災リスクを少々感じます。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「千駄木5丁目」の地域危険度は“4”(※)であり、災害リスクが大きい地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、千駄木5丁目は8件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率が優良レベルの台地に位置します。
●敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に該当し、周辺のボーリング調査も良いとはいえません。
●大きな浸水リスクはないでしょう。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況は劣り、火災時の災害リスクは多少なりとも存在すると判断します。
⇒ボーリング調査が良くないので、地盤リスクをある程度認めます。敷地の北側は細街路に囲まれた地域にあるので、火災リスクも多少計上します。これらに加えて、地域危険度が高いことなども勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。