【防災力:2】ウエリス世田谷砧

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ウエリス世田谷砧

 

1.大地震が発生しても安全か

地震に強いとはいえない

対地震 Level  3/5 (リスク有)
地盤ハザード [3/5]「埋没谷」に該当
地盤増幅率 [0/5]かなり高い
ボーリング [1/5]地中深くまで柔らかい地層
建物 [4/5]どっしりとした形状
【対地震の評価】
地盤
「埋没谷」の範囲に該当し、表層地盤増幅率がかなり高い上に、ボーリング調査でも、地中深くに柔らかい地層が連続することが把握できるので、地盤リスクは大きいと判断します。
建物
どっしりとした形状なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
〔対地震総評〕
地盤リスクが相対的に大きいと推察される場所です。どっしりとした形状の建物ですが、地震の際に被害が生じる可能性は否定できません。

[所在地] 〒157-0073 東京都世田谷区砧1丁目21−18

標高・地形

標高 36m前後
地形 谷底低地


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 該当なし
沖積層 該当なし
埋没谷 範囲に該当
急傾斜等 該当なし

12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.82~1.83

かなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
深度6mほどでN値50となりますが、深度8m過ぎにN値3となります。
その柔らかい地層(N値2~4)が深度20m過ぎまで続きます。
再度N値50となるのは、深度27mほどです。
周辺の調査地点でも、概ね同様の地盤で、支持層の深さは27m~29mほどのようです。
埋没谷の影響が見られ、地中深くに柔らかい地層が連続することが把握できるので、地盤の良い場所ではありません。

建物

築年 2017年12月竣工
構造 RC造地上10階建
施工会社 長谷工コーポレーション
その他

どっしりとした形状の建物なので、損壊リスクは低いでしょう。

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  3/5 (浸水リスク有)
標高 36m前後
地形 谷底低地
浸水深 [河川氾濫等]約0.9m
【対水害の評価】
標高・地形
標高36m前後、谷戸川沿いの谷底低地に位置します。
谷底低地は、昔、川が流れることで形成された地形です。
敷地の東側も昔の川筋にあたるようです。
〔浸水深〕
最大約0.9mの浸水可能性が指摘されています。
〔対水害総評〕
谷戸川と昔の川筋が交わる谷底低地に位置し、約0.9mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。
想定を超える大雨が発生した場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

3.その他の災害リスク

その他 Level  4/5 (大きな災害リスクなし)
接道状況 良好(接面道路幅員約8m)
系統連続性 普通
地域危険度 災害に強い地域
その他

接面道路

北側(幅員約8m)、南東側(幅員約5m~5.3m)、西側(幅員約5m)の3本の区道と接面している3方路地です。
幹線道路に直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「砧1丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。


※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、砧1丁目は29件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

4.本マンションの総合評価

総合 Level  2/5
[対地震] Level  3/5 (リスク有)
[対水害] Level  3/5 (浸水リスク有)
[その他] Level  4/5 (大きな災害リスクなし)

地震リスク
地盤リスクが相対的に大きいと推察される場所です。どっしりとした形状の建物ですが、地震の際に被害が生じる可能性は否定できません。
水害リスク
谷戸川と昔の川筋が交わる谷底低地に位置し、約0.9mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。
その他リスク
大きなリスクを感じるような要素なし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年10月