【防災力:4】テラス恵比寿の丘

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 テラス恵比寿の丘

[所在地] 〒153-0061 東京都目黒区中目黒2丁目1−23

防災力 Level 4
地盤 []崖上立地、埋没谷
浸水 []浸水可能性の指摘なし
建物 []建物形状が少し複雑
火災 []接道状況及び系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約27m~30mの台地に位置します。
敷地の南西側は数mの高さの崖があり、隣地及び道路との境界部分に擁壁が築造されています。
傾斜地・崖地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。擁壁でしっかり押さえているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.4”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、
深度十数mまでN値2~10未満の柔らかい地層が存在しています。
支持層の深さは、20m~27mを超えるようです。
深い部分まで柔らかい地層が続き、支持層も深いようなので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2006年7月月竣工の中層RC造建物(地下1階地上6階建)です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「竹中工務店」です。
建物は、少々複雑な形をしていますが、スーパーゼネコンが施工した中層RC造建物なので、大きな損壊リスクはないと判断します。

 接面道路

北側区道(幅員約5.9m~6.4m)に接面する中間画地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
接面道路はあまり広い道路ではありませんが、北東方に60mほど進むと片側一車線が整備された道路となり、駒沢通り(都道)へのアクセスは容易です。
ただ、接面道路は西方で階段となり、北東方には幅員5m未満の箇所もあるので、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「中目黒2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、中目黒2丁目は18件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率は良好ですが、埋没谷の範囲に該当する崖上立地の傾斜地です。
周辺のボーリング調査からは、あまり良い地盤でないことが推察されます。
浸水可能性は指摘されていません。
中層RC造建物なので、大きな損壊リスクはないと判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査もあまり良くない上に、崖上立地なので、地盤リスクは顕在です。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。