「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　プラウド新宿牛込柳町

[所在地] 〒162-0053 東京都新宿区原町３丁目１５−１

 標高・地形

●標高33m～34mほどの台地に位置します。
●「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。
●原町の台地付近は、1923年の関東大震災の際、推定震度が「５弱」と比較的揺れが抑えられた場所だったと推定されています。(参考資料：武村雅之名古屋大学教授「1923年関東地震による東京都中心部(旧15区内)の詳細震度分布と表層地盤構造」)

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.39～1.4”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6″以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地付近と思われる公開されたボーリング調査地点の柱状図では、
▼深度11m過ぎまでN値3ほどの地層が混在します。
▼深度24m～25mほどにN値12～14の(深い場所にあるにしては)少し柔らかい層があります。
▼支持層の深さは、26mほどのようです。
●周辺にある複数のボーリング調査地点の柱状図も、同じような結果です。
●深度11m過ぎまで柔らかい地層が続き、支持層が深いので、マンション用地として、あまり良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2019年11月竣工のRC造地上13階建です。
●施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「木内建設」です。
●建物の形状がかなり複雑なことが気に掛かります。
●横長かつシンプルな形状の建物と比較したら、地震時の建物の損傷リスクは高くなると判断します。

 接面道路

●南側都道(幅員約16.6m)に接面する中間画地です。
●都道に面しているので、系統連続性は良好と判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

●東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「原町3丁目」の地域危険度は“３”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
●原町3丁目は、対象地の北側に狭い路地に木造戸建住宅が密集しているエリアがあり、少し危険度を上げてしまっていますが、対象地は都道沿いですし、危険度は低いでしょう。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、原町3丁目は7件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●表層地盤増幅率が優良レベルの台地に位置します。
●ボーリング調査はあまり良くありません。
●浸水可能性は指摘されていません。
●複雑な形状の建物であり、大地震の際の損傷リスクを認めます。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いでしょう。

⇒建物形状がかなり複雑です。立地も台地ですが、敷地付近のボーリング調査結果はあまり良くないので、大地震の際に建物が損傷する可能性があると判断します(2019年竣工の建物なので、建物のメンテナンスをしっかりしているうちは、損壊リスクは低いと思いますが)。浸水リスク及び火災リスクは低いので、防災力を“レベル４”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。