【防災力:2】プラウドシティ大田六郷

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 プラウドシティ大田六郷

[所在地] 〒144-0056 東京都大田区西六郷3丁目2−14他

防災力 Level 2
地盤 []液状化等、表層地盤増幅率及びボーリング調査も悪い
浸水 []高潮リスク、多摩川の氾濫リスク
建物 []全体的にシンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約3m~4m、多摩川河口周辺に広がる低地及び自然堤防に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地が含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.13”です。
東京都区部東部の低地エリアや湾岸の埋立地エリアに匹敵する非常に高い数値であり、地震の際の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。大地震の際に、震度7の揺れを覚悟しなくてはなりません。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
深度約11m~14mにN値0の層があるなど、深度22m近くまでN値5未満の地層が続きます。
敷地内にある調査地点の柱状図では、支持層の深さは把握できませんでした。
周辺にある調査地点での支持層の深さは、西方の地点で深度20m超、東方の地点で深度34mほどのようです。
支持層も深く、それより浅い部分も軟弱地盤レベルであり、地盤の悪い場所です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮により最大約1.1mの浸水可能性が指摘されています。
多摩川の氾濫による浸水可能性は、敷地全体に0.5m~3m未満、敷地の一部(南西部)に3m~5m未満の指摘となっています。
高潮の浸水も、多摩川の氾濫による浸水も、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【多摩川洪水ハザードマップ】

※ [大田区防災ハザードマップ] → [多摩川ハザードマップ(最大浸水深)]

 建物

[フォレスト街区] 2017年1月竣工のRC造地上14階建
[プラザ街区] 2018年1月竣工のRC造地上15階建
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
全体的にシンプルな形状なので、建物損壊リスクは低いものと判断します。

 接面道路

敷地の周囲は幅員5.5m前後の区道でほぼ囲まれており、接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
環八通りに繋がる片側一車線が整備された道路が近接しているので、系統連続性は良好と判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「西六郷3丁目」の地域危険度は“4”(※)であり、災害リスクが大きい地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、西六郷3丁目は14件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。
プラザ街区は、JRの線路が隣接していますので、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

地形的には多摩川河口周辺に広がる低地及び自然堤防に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率が非常に悪く、ボーリング調査も軟弱地盤エリア並みに悪い場所です。
高潮により約1.1mの浸水可能性、多摩川の氾濫では最大3m~5m未満の浸水可能性が指摘されています。
全体的にシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

多摩川河口周辺に広がる低地であり、「液状化の可能性がある地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率及びボーリング調査も非常に悪い結果なので、地盤リスクだけで防災レベルを2段階マイナスします。浸水リスクも顕在なのでマイナス1とし、防災力を“レベル2”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。