【防災力:3】パークホームズ志村坂上サウスレジデンス
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 パークホームズ志村坂上サウスレジデンス
[所在地] 〒174-0061 東京都板橋区大原町41−4
防災力 | Level 3 |
地盤 | [1]液状化、土砂災害特別警戒区域 |
浸水 | [5]浸水可能性の指摘なし |
建物 | [5]2007年竣工の中層RC造建物 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約20m~23m、谷底低地と台地の境目にある傾斜地に位置します。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、西側隣地及び接面道路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●更に、南側隣地である長徳寺の墓地とは5m~7mの高低差があり、この法面(斜面)部分は「土砂災害特別警戒区域」及び「土砂災害警戒区域」に指定されていることから、崖崩れの危険性が高い場所といえます。
●ただ、この南側の法面部分は、長徳寺が管理していると思われ、保守・管理の費用面での負担は必要ない可能性がありますが、傾斜地としての地盤リスクはあるでしょう。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地が含まれています。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ
※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.39″です。
●都区内で優良レベルであり、地震の際の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある調査地点では、
▼表層に問題はないようです。
▼その下に固い地層も挟まりますが、N値10前後の地層が深度約30mまで存在します。
▼柱状図に支持層までの記載がなく、支持層の深さは把握できません。
▼地下水位の下に、砂質の地層が存在する地点が多いので、液状化の可能性は否定できません。
●マンション用地としては柔らかい地層が深くまで続いており、支持層も深く、液状化の可能性も否定できないので、地盤が良い場所とはいえません。
●ボーリング調査からは、表層地盤増幅率が優良レベルであることの根拠が見出せませんでした。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
浸水可能性は指摘されていません。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2007年2月竣工の中層RC造建物(地下1階地上9階建)です。
●施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」及びマンション建設に実績のある「川口土木建築工業」の共同企業体です。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接面道路
●北西側区道(幅員約6m~8m)に接面する中間画地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●中山道(国道17号線)までは一本道なのですが、一方通行路や幅員が狭くなる箇所等があり、接続が容易とはいえない面があるので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「大原町」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、大原町は14件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
本マンションの総評
●表層地盤増幅率は優良レベルですが、「液状化の可能性がある地域」に該当する傾斜地で、敷地境界の一部は「土砂災害特別警戒区域」等に指定されています。
●周辺のボーリング調査も良い結果ではありません。
●浸水可能性は指摘されていません。
●中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
⇒「液状化の可能性がある地域」に該当し、ボーリング調査も良い結果ではない上に、敷地境界の一部が「土砂災害特別警戒区域」等に指定されている傾斜地なので、地盤リスクは大きいと判断しマイナス2とします。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。