【防災力:4】パークコート高輪ヒルトップレジデンス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークコート高輪ヒルトップレジデンス

[所在地] 〒108-0074 東京都港区高輪2丁目1−15

防災力 Level 4
地盤 []高低差数mの傾斜地、ボーリング調査が良くない
浸水 []浸水可能性の指摘なし
建物 []Uの字形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

建物は、標高約18m~23m、台地の端にある傾斜地に位置します。敷地のアプローチ(路地状部分)の東端は標高約12mです。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
北側隣地境界付近の本件敷地側に、擁壁等があります。擁壁等があるということは、その修繕費用(保守管理費用)も必要になるというランニングコストの問題が生じます。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.44~1.46”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南西方にある調査地点では、
表層にN値2の柔らかい地層が存在します。
深度26m過ぎまでN値10前後の柔らかい地層が続きます。
深い部分の柔らかい地層は、「埋没谷」の影響である可能性があります。
支持層の深さは、29mほどのようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在するので、液状化の懸念も拭えません。
地中の深いところまで柔らかい地層が続き、支持層も深く、液状化の懸念も残るので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2008年5月竣工のRC造地下1階地上10階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
建物の形状は、Uの字状であるように見えます。
南側の棟と、北側のセットバックしている棟との間にエキスパンションジョイントが使用されているように見えません。
概ねどっしりとした形状なので、大きな損壊リスクはないと思われるものの、多少の損傷リスクを認めます。

 接面道路

東側都道(幅員約17.3m)に接面する中間画地です。
都道に接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「高輪2丁目」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、高輪2丁目は24件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

台地の端にある、高低差数mの傾斜地に位置します。
表層地盤増幅率は良好ですが、埋没谷の範囲に該当します。
ボーリング調査は良くありません。
浸水可能性は指摘されていません。
概ねどっしりとしているので、損壊リスクは低いと考えますが、Uの字形状の建物なので、多少の損傷リスクを認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

高低差数mの傾斜地に位置する上に、埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査も良くないので、地盤リスクを無視できません。建物にも、多少の損傷リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。