【防災力:3】パークハウス荻窪

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークハウス荻窪

[所在地] 〒167-0051 東京都杉並区荻窪3丁目6−15

防災力 Level 3
地盤 []表層地盤増幅率がかなり高い
浸水 []氾濫浸水区域内で、約1.2mの浸水可能性
建物 []2017年竣工の低層RC造建物
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高は約40m~43m、低地から台地に立ち上がる傾斜地に位置します。
対象地は、高低差が約3mある傾斜地ですが、大規模な擁壁の築造も見えず、傾斜地リスクは大きなものではないと判断します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地が含まれています。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ [東京都建設局] → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.9”です。
都区内の武蔵野台地エリアではかなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内及び近隣の同地形(切土地)に公開されたボーリング調査地点はありません。
南方の台地斜面に存する調査地点では、
表層はN値3以上あります。
深度9m過ぎにN値50超となりますが、その下にN値30~40ほどの地層が存在します。
支持層には深度21mほどで到達します。(低層建物なので、支持層をN値30超としている場合には、十数mで到達します。)
同じく南方の、上記地点と距離的に近いものの谷底低地に存する調査地点では、
深度5m過ぎまでN値0~1の非常に柔らかい地層が続いています。
深度7m過ぎにN値50超となりますが、深度9m過ぎから段々とN値が下がり、深度16mほどでN値20となります。
深度16mまでしか表記がなく、支持層の深さは把握できません。
地下水位は浅いですが、地中に砂質の地層はほとんどないので、液状化の可能性は低いと考えます。
深度約7m~9mでN値50超の固い地層となるので(その下で少し柔らかい地層も混在しますが)、地震時に揺れが大きくなるようなリスクは低いのではないかと考えます。
これらの地点から、表層地盤増幅率がかなり高い数値であることの根拠は見出せません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
敷地の大半が、赤い線で表示されている「善福寺川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置しており、河岸と比較して標高差もほとんどありません。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2004年10月に竣工した低層RC造建物(地上4階建)です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「大豊建設」です。
低層RC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いです。

 接面道路

西側(幅員約8m~10.5m)、北側(幅員約3.2m~4m)の2本の区道に接面する角地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備・拡張しています。
周辺には細街路も多く存在していますが、環八通り等の都道まで幅員5m超を保ったままアクセスできるルートが複数あるようなので、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「荻窪3丁目」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、荻窪3丁目は12件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率がかなり高い傾斜地です。
周辺のボーリング調査からは深刻な問題はみられません。
氾濫浸水区域内に位置し、約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
低層RC造建物であり、建物自体の損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

周辺のボーリング調査からは深刻な問題はみられませんが、表層地盤増幅率がかなり高い傾斜地であり、地盤リスクを無視できません。善福寺川の氾濫浸水区域に敷地の大半が含まれ、約1.2mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。