【防災力:4】パークハウス市谷柳町

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークハウス市谷柳町



[所在地] 〒162-0061 東京都新宿区市谷柳町1−4

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、液状化
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []2009年竣工、制震構造のRC造建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約21m~26mの谷底低地に位置します。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
大規模な擁壁等の築造は視認できませんが、数mの高低差があるので、傾斜地としてのリスクは無視できません。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に該当しています。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.45”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
近隣にある調査地点では、
表層にN値0~1の非常に柔らかい地層が存在します。
それ以降一旦固い地層となりますが、深度12m前後にN値10以下の地層が入ります。
支持層の深さは、16m~21mほどのようです。
全体的に(マンション用地として)良い地盤とは言えませんが、地震時に揺れが大きくなるリスクを感じるほどの柔らかい地層でもありません。
ただ、地下水位は浅いところで2m前後であり、かつ砂質の地層が地中の多くを占めることから液状化の可能性は顕在です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性の指摘はありません。
敷地は、東西の台地に挟まれた谷状の場所に位置しますので、予想を超える大雨が降った場合には、想定外の浸水が発生する可能性はあるでしょう。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2009年12月竣工のRC造地下1階地上13階建です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「大豊建設」です。
建物の形状が少し縦長かつ複雑なことが気になります。横長でシンプルな形状の建物と比較したら、損壊リスクは多少なりとも上がるでしょう。
ただ、制震構造となっていることから、倒壊リスクに繋がるような大きなリスクではないと判断します。

 接面道路

南側都道(幅員約16.5m)、南西側区道(幅員約6m)、東側区道(幅員約4.1m~5m)の3本の道路に接面しています。
都道に隣接しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「市谷柳町」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、市谷柳町は3件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
また、近接している外苑東通りと大久保通の交差点である「市谷柳町交差点」は、昔、排気ガスが滞留して健康被害が生じた場所でもあります。現在は、さほど排気ガスが溜まるということはないと思いますが、念のため、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーは避けた方がいいかもしれません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

「液状化の可能性がある地域」に該当し、近隣のボーリング調査でも液状化の可能性が把握できます。
谷状の地形ですが、浸水リスクが大きな影響を与えることはないものと考えます。
制震構造の建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

近隣のボーリング調査でも液状化の可能性が把握される地域に位置する傾斜地なので、地盤リスクを無視できません。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。