【防災力:4】落合ハイム
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 落合ハイム
[所在地] 〒161-0034 東京都新宿区上落合1丁目30−15
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]傾斜地、ボーリング調査が良くはない |
浸水 | [5]浸水可能性の指摘なし |
建物 | [4]どっしりとした横長形状 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約24m~29m、台地の端に位置する傾斜地です。建物部分(建築面積相当)の標高は約24m~27mです。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●また、北側隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●対象地は2つのメッシュにまたがっており、それぞれの表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.33”と”1.58”となっています。
●”1.33”は、都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
●”1.58”は、都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
●周辺を広く見ると、台地エリアの地盤増幅率は標準レベルとなっているので、本件評価では”1.58”を採用します。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●北方で隣接する複数の調査地点では、
▼表層にN値2の柔らかい地層が存在する地点があります。
▼支持層の深さは、12m~13mの地点と、22mほどの地点が混在しています。
●南方の台地に存する調査地点では、全体的に固い地層は少なく、支持層の深さも20m超のようです。(柱状図に20mまでしか表記がなく、支持層の深さは把握できません。)
●表層面が柔らかい可能性があり、支持層もそれなりに深いことが推察されるので、地盤の良い場所とはいえません。ただ、深刻なリスクを感じる要素もありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
浸水可能性は指摘されていません。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2002年3月竣工のRC造地下1階地上14階建です。
●施工会社は、スーパーゼネコンの「鹿島建設」です。
●建物は、どっしりとした横長形状なので、損壊リスクは低いと判断します。
接面道路
●北側都道(幅員約14.9m)、西側及び南側区道(幅員約3.1m~3.6m)の2本の道路と3方で接面する3方路地です。
●区道との接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●都道と接面しているので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「上落合1丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、上落合1丁目は36件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。
本マンションの総評
●台地の端に位置する傾斜地で、さほど大規模なものではないですが、擁壁も築造しています。
●ボーリング調査は、良いとはいえない結果ですが、深刻なリスクもみられません。
●浸水可能性は指摘されていません。
●どっしりとした横長形状なので、建物損壊リスクは低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒擁壁で土留めした地盤の上に建物が建っている上に、周辺のボーリング調査も、さほど良い結果ではないので、地盤リスクを計上します。その他の、浸水リスク、建物損壊リスク、火災リスクはいずれも低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。