【防災力:3】目白ガーデンヒルズ

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 目白ガーデンヒルズ

[所在地] 〒171-0031 東京都豊島区目白1丁目3−17

防災力 Level 3
地盤 []北側の崖崩れリスク
浸水 []神田川に近く、約1.2mの浸水可能性
建物 []免震構造
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約14m~18m、谷地から台地に向かって立ち上がる傾斜地です。地形的には、切土地(一部、谷底低地)です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。また、地震時の揺れが複雑になるという調査もあります。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
北側にある学習院大学敷地の台地部分の標高は33mほどあり、対象地との標高差は15mほどとなります。
この北側法面部分の一部が「土砂災害警戒区域」に指定されています。
大規模な擁壁等の築造は視認できないので、大きな傾斜地(地盤)リスクはないと推察しますが、裏の崖が崩れてくる可能性があり、土砂災害の危険性は高い場所です。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.3~1.38″です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南側隣地にある調査地点では、深度約3mでN値50超の支持層に到達するようです。
対象不動産の新規分譲時売主である住友不動産の資料によると「地下約8m以深、N値60以上の大変強固な東京礫層を支持基盤とし、基礎は全て直接基礎を採用」とのことです。
マンション用地として、都区内トップレベルの良い地盤である可能性が高いです。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の北西部に、最大約1.2mの浸水可能性の指摘があります。これは、川沿いでもない場所では、かなり大きな数値です。
ただ、標高・地形や東京都が公開している「下水道台帳」等を見ても、この指摘箇所に水が集まる理由が判然としません。
敷地の南側にも、最大約0.9mの浸水可能性の指摘があります。こちらもそれなりに大きな数値です。
敷地の南側の浸水域は、神田川の氾濫浸水区域と繋がっていますので、予想外の大雨が降り、神田川が氾濫した際には、想定を超える浸水被害が生じる可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2006年2月竣工のRC造地下1階地上11階建です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「鹿島建設」及び「株木建設」の共同企業体です。
この建物は「フラットプレート免震工法」で建設されているので、建物損壊リスクは低いです。

【参照】フラットプレート免震工法(住友不動産プレスリリース資料)

 接面道路

南側(幅員約7.4m~8.8m)、西側(幅員約10.5m~11.3m)の2本の区道に接面する角地です。南側の接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
対象地と新目白通りを接続する道路は一方通行路となっていますが、目白通りや明治通りまでは、片側1車線が整備された道路でアクセスできるので、系統連続性は良好と判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「目白1丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、目白1丁目は4件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
但し、目白1丁目は学習院大学の敷地がほとんどを占めていることから、周辺の町域の安全度を見る必要があります。因みに、南側で隣接する「高田3丁目」は年間35件の犯罪発生数があり、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率が優良レベルで、近隣のボーリング調査も良好なので、地盤リスクは低いです。
対象地の北側に「土砂災害警戒区域」に指定されている箇所があります。
指摘された浸水深が大きい上に、神田川流域の氾濫浸水区域と繋がっているので、浸水リスクは無視できません。
免震構造の建物なので、損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地盤は都区内トップレベルといっていい場所ですが、裏の崖が崩れてくるリスクが指摘されています。免震構造の建物なので、地盤リスクは多少軽減しますが、土砂災害リスクには無力です。浸水リスクも無視できないレベルなので、これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。