「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　ルフォン不動前

[所在地] 〒141-0031 東京都品川区西五反田４丁目２８−６

 標高・地形

●標高15m前後の谷底低地に位置します。目黒川に流れ込む河川の谷跡です。
●対象地は、12万年前～16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか？

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.45”です。
●都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に公開されたボーリング調査地点はあります。
●周辺の調査地点から、支持層の深さは16m～17mほどと推察されます。
●また、これらの調査地点からは、埋没谷の影響は見られませんでした。
●表層面に問題がなく、埋没谷の影響も見られず、支持層もさほど深くはないようなので、地盤に問題のない場所といえます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

●敷地の一部に最大1mの浸水可能性が指摘されています。
●地形を見ても、台地に挟まれた谷のような場所にあるので、豪雨の際には水が集まる可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2012年2月竣工のRC造地下1階地上11階建の建物です。
●施工会社は、準大手ゼネコン「熊谷組」です。
●エキスパンションジョイントを活用しているとは思いますが、それぞれの建物は複雑な形状をしており、地上11階建という高さなので大きな被害は出ないと考えますが、シンプルな形状の建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。

 接面道路

●北側(幅員約15m)、西側(幅員約6m)の2本の区道に接面している角地です。西側の接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●北側接面道路は、片側一車線が整備された道路であり、山手通り(都道)との接続も容易なので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「西五反田４丁目」の地域危険度は“２”(※)であり、災害に対して比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、西五反田4丁目は17件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
●建物背後に東急目黒線が隣接し、公園も隣接、そして東側には小学校も近接しているので、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

●埋没谷の範囲に該当しますが、表層地盤増幅率は良好です。
●近隣ボーリング調査の結果は悪くありません。
●地形が谷底低地で、約1mの浸水可能性が指摘されています。
●建物は複雑な形状なので、建物損傷リスクを多少認めます。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

⇒埋没谷の範囲に該当する谷地ですが、表層地盤増幅率は良好です。近隣のボーリング調査結果からも地盤リスクが小さいことが推察されます。谷地といえる場所で、約1mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。建物も複雑な形状なので、多少の損傷リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル４”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。