【防災力:2】ラグナタワー品川

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ラグナタワー品川

[所在地] 〒140-0002 東京都品川区東品川3丁目8−8

防災力 Level 2
地盤 []ボーリング調査が良くない
浸水 []高潮約1.7m、氾濫浸水区域内
建物 []タワー形状の高層建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約2m~3mの湾岸の埋立地(昭和初期に埋立)に位置します。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.46”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れを小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
近隣にある調査地点では、
東方の地点では、深度7m過ぎにはN値8以上の地層となり、そのまま深度13m~14mまでN値8~9の地層が続いた後、深度18m~19mでN値50超の地層に到達します。
南方の地点では、深度6m過ぎにN値50超の地層となりますが、深度12m~18mほどにN値3~4の柔らかい地層が存在します。
どの柱状図にも支持層までの表記がなく、支持層の深さは把握できませんが23mより深いようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在する地点が多いので、液状化の可能性は否定できません。
深度18mほどまで柔らかい地層が存在する地点があるので、良い地盤とはいえません。液状化の可能性もあるので、相応の地盤リスクを計上します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮により最大約1.7mの浸水可能性が指摘されています。
赤い線で表示される「目黒川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置し、最大約0.8mの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、標高3m未満の湾岸の埋立地に位置します。
昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【目黒川が氾濫した場合等の浸水想定区域】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2005年2月竣工のRC造地下1階地上31階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「五洋建設」です。
縦長のタワー型高層マンションです。
タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワー形状の高層建物というだけでマイナス評価とします。

【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)

 接面道路

西側国道(幅員約23m)、南側区道(幅員約18m)の2本の道路に接面している角地です。
接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
海岸通り(国道)に接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「東品川3丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、東品川3丁目は38件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

「沖積層の堆積エリア」に該当する、湾岸の埋立地に位置します。
ボーリング調査でも、地中のそれなりに深いところまで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性もあることが把握できます。
高潮で約1.7mの浸水可能性が指摘されている他、目黒川の氾濫浸水区域に該当します。
タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

沖積層エリアに該当し、ボーリング調査も良い結果とはいえないので、地盤リスクを計上します。高潮で約1.7mの浸水可能性が指摘されている上に、河川氾濫の可能性もあるので、浸水リスクも顕在です。タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。