【防災力:4】広尾ガーデンヒルズ

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 広尾ガーデンヒルズ

[所在地] 〒150-0012 東京都渋谷区広尾4丁目1−6他

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、埋没谷、ボーリング調査がいま一つ
浸水 []浸水可能性の指摘なし
建物 []築古、ジグザグ状の形(が多い)
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約18m~28m、台地の端にある傾斜地に位置します。
広大な敷地ですが、特に東側及び南側の傾斜は大きくなっています。傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置している建物も数棟あります。擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.46~1.5”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺の同地形(台地及び切土地)にある調査地点では、
表層にN値0~1の非常に柔らかい地層がある地点があります。
深度10mほどで一旦固い地層となりますが、深度12m~18mほどに埋没谷の影響なのか、N値5以下の柔らかい地層が続きます。
支持層の深さは19mほどのようです。
地下水位の下に、N値20以下の砂質の地層が散見されます。液状化の可能性は、低いと思いますが、ないとはいえません。
深度20m近くまで柔らかい地層が存在するので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

1983年08月から1987年2月に竣工した、SRC造地上8階建~14階建の15棟からなります。
施工会社は、清水建設、大林組、大成建設、鹿島建設、三井建設、三菱建設の共同企業体です。
F棟、I棟、J棟、K棟の4棟以外の形状は、上から見るとジグザグ状になっています。
また、築40年を超える棟があるなど、建物が古くなってきているので、築年の浅い、シンプルな形状の建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。

 接面道路

敷地内や周囲には、十分な幅員の道路が整備されています。
外苑西通り(都道)へのアクセスは容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「広尾4丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、広尾4丁目は8件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

敷地の東側及び南側には擁壁の築造もみられる傾斜地です。
「埋没谷の範囲」に該当し、ボーリング調査もあまり良くありません。
浸水可能性は指摘されていません。
概ねどっしりとした形状であるため、建物損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

敷地の東側及び南側には擁壁の築造もみられる傾斜地であり、「埋没谷の範囲」に該当し、ボーリング調査もあまり良くないので、地盤リスクを無視できません。築年が古く、少々複雑な形状の建物が多いため、損傷リスクを多少認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。