「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　グランドメゾン品川シーサイドの杜

[所在地] 〒140-0002 東京都品川区東品川４丁目５−８

 標高・地形

●標高2m余り 、湾岸の埋立地(盛土地)に位置します。
●東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に敷地の一部が含まれています
●また、対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.67～1.68”です。
●やや高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある調査地点では、
▼深度10mほどまでN値0～1の非常に柔らかい地層が続いています。
▼深度20m過ぎまでN値10以下の柔らかい地層が続きます。
▼深度22m～31mでN値50超の固い地層となりますが、深い部分まで柱状図の表記がある地点がないので、この地層が支持層かどうかは不明です。
▼総じて砂質の地層は薄く、液状化の可能性はあまり高くないと考えます。
●深度20m過ぎまで柔らかい地層が続いていますので、「軟弱地盤」に近い地盤です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

●高潮により最大約1.3mの浸水可能性が指摘されています。
●赤い線で表示される「目黒川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置し、最大約0.4mの浸水可能性が指摘されています。
●標高が低い場所に位置しており、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの数値を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【河川洪水ハザードマップ】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2019年11月竣工のRC造地下1階地上19階建です。
●施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
●概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

【参照】耐震等級“１”のマンションは震度７に耐えられない？

 接面道路

●東側国道(約25m)、北側区道(約6m)、西側区道(約7.6m)の3本の道路に接面する3方路地です。
●国道に接面しており、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「東品川4丁目」の地域危険度は“１”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、東品川4丁目は37件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

●湾岸の「埋立地」に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
●ボーリング調査からも、地盤リスクの大きな場所であると推察されます。
●高潮により約1.3mの浸水可能性が指摘されています。目黒川の氾濫浸水区域内なので、川の氾濫もあり得ます。
●概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

⇒沖積層エリアに該当する湾岸の埋立地に位置し、ボーリング調査からも地盤リスクが大きな場所であることが推察されます。高潮で約1.3mの浸水可能性が指摘されるなど、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル３”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。