【防災力:4】シティハウス成増ステーションコート

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 シティハウス成増ステーションコート

[所在地] 〒175-0094 東京都板橋区成増3丁目26−25

防災力 Level 4
地盤 []擁壁を築造している傾斜地
浸水 []少し大きな内水氾濫リスク
建物 []全体的にシンプルかつどっしりとした形状
火災 []系統連続性は普通(やや優る)
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約21m~26m、台地の上にある切土地に位置する、5mほどの高低差がある傾斜地です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。擁壁でしっかり押さえているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、敷地の北東側では、区道との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.24″です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
南方にある類似地形(台地)の調査地点では、
N値3の地層が深度6m過ぎまで続きます。
一旦、固い地層となりますが、深度10mほどで再度N値3の柔らかい地層となります。
支持層に到達するのは深度23mを超えるようです。(23mまでしか表記がなく、支持層の深さが把握できません)
支持層が深いので、マンション用地としてあまり良い地盤とは言えませんが、地震時に揺れが大きくなるリスクを感じるほどの柔らかい地盤でもありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の一部に、約0.7mの浸水可能性が指摘されています。
内水氾濫としては、少し大きな数値ですが、地形・標高及び東京都下水道局が提供している「下水道台帳」を見てみても、ここに水が集まる理由が判然としません。南西方の地盤面に対して、敷地を掘削していることが浸水可能性の数字に反映しているものと推察します。
想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2005年11月竣工のRC造地下1階地上11階建です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「鹿島建設」です。
建物は、全体的にシンプルかつどっしりとした形状なので、損壊リスクは低いと判断します。

 接面道路

東側(幅員約7.7m~8.8m)、南西側(幅員約5.1m)、北側(幅員約6m)の3本の区道に接面する3方路地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
幹線道路まで、直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通(やや優る)と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「成増3丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、成増3丁目は52件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率が優良レベルの台地(にある切土地)に位置していますが、敷地には高低差があり、道路境界に擁壁を設置しています。
周辺のボーリング調査に深刻な問題はありませんが、良いとも言えません。
敷地の一部に約0.7mという、少し大きな内水氾濫の可能性が指摘されています。
全体的にシンプルかつどっしりとした形状なので、建物損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

敷地は、道路境界に擁壁を設置している傾斜地です。周辺のボーリング調査はさほど良い結果ではありません。敷地の一部に、少し大きな内水氾濫の可能性が指摘されています。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。