【防災力:1】ブリリアタワー品川シーサイド
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 ブリリアタワー品川シーサイド
[所在地] 〒140-0002 東京都品川区東品川4丁目13−24
防災力 | Level 1 |
地盤 | [1]軟弱地盤 |
浸水 | [3]高潮約1.5m |
建物 | [2]タワー形状の高層建物 |
火災 | [5]接道状況及び系統連続性は良好 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高約2m~3m、、湾岸の埋立地(昭和初期に埋立)に位置します。
●対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.72”です。
●標準より高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
周辺のボーリング調査
●敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
●周辺にある調査地点では、
▼北西方の地点では、深度30m過ぎまでN値0のズブズブの非常に柔らかい地層が続き、地下水位の下に砂質の地層が広がっているので液状化の可能性も高いです。
▼南方の地点では、深度8m過ぎにN値10の地層となり、それ以降N値10前後の地層が深度20mほどまで続きます。
●本件マンションの公式ホームページに、支持層の深さは約23m~27mであるとの表記があります。
●保守的に捉え、北西方の地点を重視すると、地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続き、液状化の可能性も高い、いわゆる「軟弱地盤」です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●高潮により最大約1.5mの浸水可能性が指摘されています。
●河川の氾濫等では、敷地の周縁部に0.5m~3mの浸水可能性が指摘されています。
●対象地は、標高が3m未満の湾岸の埋立地に位置します。
●昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。
【高潮ハザードマップ】
※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]
【河川等が氾濫した場合の浸水想定区域】
※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)
建物
●2006年11月竣工のRC造地下2階地上22階建です。
●施工会社は、スーパーゼネコンの「大成建設」です。
●縦長のタワー型高層マンションです。
●タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、タワー形状の高層建物というだけでマイナス評価とします。
【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)
接面道路
●西側区道(幅員約22m)に接面する中間画地です。
●周辺の幹線道路との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「東品川4丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、東品川4丁目は39件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。
●首都高速1号線と近接していることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。
【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由
本マンションの総評
●「沖積層の堆積エリア」に該当する、湾岸の埋立地に位置します。
●ボーリング調査では、地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続き、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握できます。
●高潮により約1.5mの浸水可能性が指摘されています。
●タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
⇒沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が高い上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。高潮で約1.5mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも顕在です。タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル1”とします。 (5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。