【防災力:4】アトラス市ヶ谷

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の””と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 アトラス市ヶ谷


 

[所在地] 〒162-0845 東京都新宿区市谷本村町3−26

防災力 Level 4
地盤 []液状化リスク、沖積層
浸水 []谷地であり、雨水が集中する可能性あり
建物 []シンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約14m~15mの谷底低地に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.43”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、深度5m~6mまでの表層面は沖積層の影響とみられる柔らかい層となっていますが、深度9m~10mほどで支持層となる場所が多いようです。
表層面が柔らかいので、地盤の良い場所とはいえないですが、支持層が浅いので、マンション用地としては悪い場所ではありません。
ただ、地下水位は約0m~4mと浅く、表層面に砂質の地層が多いので、液状化の可能性は否定できません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大0.5mほどの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、地形的には南北の台地に挟まれた谷底低地となっています。
谷底低地というのは、昔、川が流れていたから谷底低地という地形になったのです。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2017年10月竣工のRC造地上13階建です。
施工会社は、マンション建設に実績のある「福田組」です。
少し縦長ですが、シンプルな形状の建物なので、損壊リスクは低いと判断します。

 接面道路

北側都道(幅員約30.6m)、南側区道(幅員約3.5m~4.9m)の2本の道路に接面する2方路地です。
靖国通り(都道)に接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「市谷本村町」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、市谷本村町は17件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
靖国通り沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

表層地盤増幅率に問題はありませんが、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
近隣のボーリング調査でも、液状化の可能性を把握できます。
谷底低地で、約0.5mの浸水可能性が指摘されています。
シンプルな形状の建物なので、損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「液状化の可能性がある地域」に該当し、近隣のボーリング調査でも液状化の可能性を把握できるので、地盤リスクを無視できません。それに加え、台地に挟まれた谷底低地であることから、想定を超える大雨が降った場合には浸水被害が拡大する可能性も認め、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。