「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　グランドメゾン上池袋

[所在地] 〒170-0012 東京都豊島区上池袋４丁目９−８

 標高・地形

●標高約22m～23mの台地に位置します。
●この場所は「約１万年前から現在にかけて形成された台地や段丘」とされています。
●「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.34”です。
●都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
▼深度4mでN値8ほどあるようです。
▼一度N値50に近付いた後、深度12m～13mでN値10を切る柔らかい層となります。
▼支持層に到達するのは深度23m過ぎとなるようです。
●周辺にある調査地点を見てみると、支持層に到達するのは深度20mを超える地点がほとんどです。ただ多くは、地震時に揺れを大きくするような非常に柔らかい層の存在も確認できません。
●支持層が深いようなので、マンション用地としては、あまり良い地盤ではありませんが、表層面でもそれなりの固さがあるので、大きな地盤リスクはないでしょう。
●地下水位が約2.1mと浅く、その下に砂質の地層が広がっていますが、砂質の地層はN値20超であることがほとんどのようなので、液状化の可能性は低いと考えます。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の周縁部に約0.2mの浸水可能性が指摘されていますが、地形や標高から見て、敷地全体に大きな影響はないものと考えます。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●1991年11月竣工のSRC造地下2階地上13階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「住友建設(現：三井住友建設)」です。
●建物は、少し縦長で少々複雑な形状をしています。
●横長でシンプルな形状の建物と比較すると、多少の損傷リスクはあるでしょうが、防災レベルを下げるほどの大きなリスクではないと考えます。
●また、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。

 接面道路

●南東側都道(幅員約21.8m)、南西側私道、北東私道、北西側私道の4本の道路と接面する4方路地です。
●明治通り(都道)と接面しているので、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「上池袋4丁目」の地域危険度は“２”(※) であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で１が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

●「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、上池袋4丁目は22件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
●明治通り沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

●表層地盤増幅率が優良レベルの台地に位置します。
●ボーリング調査はあまり良い結果ではありませんが、深刻な問題も見られません。
●大きな浸水リスクはないでしょう。
●少し複雑な形状で、少々古くなってきた建物ですが、大きな損壊リスクはないと判断します。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

⇒表層地盤増幅率が優良レベルの台地に位置します。ボーリング調査があまり良い結果ではありませんが、深刻な問題も見られないことから、大きな地盤リスクはないと判断します。建物形状が少々複雑ですが、これ単独で防災レベルを下げるほどの大きなリスクにはならないと判断します。他のリスクも低いので、防災力を“レベル５”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。