【防災力:3】レジデンシャルアート代々木公園

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 レジデンシャルアート代々木公園


[所在地] 〒151-0053 東京都渋谷区代々木5丁目41−1

防災力 Level 3
地盤 []埋没谷、ボーリング調査がいま一つ
浸水 []河骨川の川筋で、約1mの浸水可能性
建物 []低層RC造建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高23m~24mの谷底低地に位置します。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

対象地は2つのメッシュにまたがっています。敷地の大部分は、表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率が”1.43”、敷地の一部は”1.72”となっています。
”1.43”は、都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
”1.72”は、都区内の武蔵野台地エリアでは高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
少し離れますが、北方にある対象地と同様、河骨川(こうほねがわ)の川筋にある調査地点では、
表層はN値4以上あるようです。
深度20mになっても、マンション用地としては柔らかいN値15の地層があるなど、あまり良い地盤ではありません。
柱状図に深度20mまでの表記しかなく、支持層の深さは把握できません。
深度十数mに、埋没谷の影響とみられるN値15以下の地層が混在し、支持層も深いようなので、マンション用地として地盤の良い場所ではありません。
※対象地や隣接地のボーリング調査の結果等が明らかになり地盤への影響が判明した場合には、地盤リスクの評価を見直す可能性があります。

浸水リスク

最大約1mの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、暗渠となっている河骨川(渋谷川支流である宇田川の支流)の流域である谷底低地に位置します。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性がある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2001年5月竣工の低層RC造建物(地上5階建)です。
施工会社は、「小田急建設」です。
小田急建設は、2015年に大和ハウス工業の完全子会社となった後、同じグループの「フジタ」に吸収合併されました。
上から見ると少し複雑な形をしていますが、低層RC造建物なので、建物損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

西側(幅員約4.5m~5.4m)、北側(幅員約4.5m~5.6m)の2本の区道に接面している角地です。接道部分の一部は、敷地後退をして歩道を整備しています。
北側接面道路は一方通行路である上に、東方の西参道にアクセスするには、小田急線の踏切を渡る必要があります。
西側接面道路は、幹線道路と接続するのに少し距離があり、あまり幅員の広くない道路が続きます。
そのため、系統連続性は「やや劣る」とします。
ただ、幅員5m超の道路で対象地にアクセスすることは可能であり、緊急車両の通行に支障となるような箇所はないため、火災時の災害リスクは問題ないと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「代々木5丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、代々木5丁目は49件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率が良好なメッシュに敷地の大部分が含まれています。
埋没谷の範囲に該当し、ボーリング調査もあまり良い結果ではありません。
暗渠となっている河骨川の川筋に位置し、約1mの浸水可能性が指摘されています。
低層RC造建物なので、建物損壊リスクは低いです。
緊急車両の通行に大きな問題はなく、火災時の災害リスクは問題ないと判断します。

埋没谷の範囲に該当し、同じ川筋のボーリング調査の結果からも、地盤リスクは多少あるものと考えた方が無難でしょう。河骨川の川筋なので、浸水リスクは顕在です。火災リスクも、系統連続性が良好な立地と比較すると多少感じる立地です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。