【防災力:3】トワイシア用賀

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 トワイシア用賀

 

1.大地震が発生しても安全か

地震に強いとはいえない

対地震 Level  3/5 (リスク有)
地盤ハザード [3/5]「埋没谷」に該当
地盤増幅率 [0/5]かなり高い
ボーリング [1/5]悪い(埋没谷の影響)
建物 [5/5]どっしりとした形状
【対地震の評価】
地盤
「埋没谷」の範囲に該当し、表層地盤増幅率がかなり高い上に、ボーリング調査でも、地中深くに柔らかい地層が連続することが把握できるので、相応の地盤リスクがあると判断します。
建物
どっしりとした形状なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
〔対地震総評〕
埋没谷の影響がみられる地盤なので、地震時に揺れが大きくなる可能性があります。どっしりとした形状の建物ですが、地震の際に被害が生じる可能性は否定できません。

[所在地] 〒158-0096 東京都世田谷区玉川台2丁目24−7他

標高・地形

標高 約31m~34
地形 台地


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 該当なし
沖積層 該当なし
埋没谷 範囲に該当
急傾斜等 該当なし

12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.33、1.87

対象地は、J-SHIS Mapの2つのメッシュにまたがっています。西側のパークフロントレジデンス(以下「西棟」と表記)敷地付近の表層地盤(地表近くの地層)の地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.87”、東側のエアリーレジデンス(以下「東棟」と表記)敷地付近のそれは”1.33”です。
”1.87”は、都区内の武蔵野台地エリアではかなり高い数値であり、地震の際の揺れが大きくなる可能性が高い場所です。”1.33”は、都区内で優良レベルであり、地震の際の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
東棟敷地は地盤増幅率”1.33”のメッシュに含まれているのですが、このメッシュ内にある公開されたボーリング調査地点の柱状図をみても、地盤増幅率が”1.33”である理由が判然としません。
対象地は、埋没谷の範囲に該当していることも勘案し、地盤リスクはあると推察します。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
近隣にある複数の調査地点では、
深度9m~10mでN値50超となるものの、深度約12m以降、柔らかい地層となります。
深度14m~22mではN値3の柔らかい地層が連続します。
支持層の深さは、26m~33mであるようです。
地中深くに、埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が連続することが把握されるので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

建物

築年 2008年1月竣工
構造 RC造 [東棟]地下1階地上11階建、[西棟]地下1階地上4階建
施工会社 鉄建建設
その他

東棟はどっしりとした形状の建物、西棟は低層RC造建物であり、共に損壊リスクは低いと判断します。

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  3/5 (浸水リスク有)
標高 約31m~34m
立地 台地
浸水深 [河川氾濫等]約1.3m
【対水害の評価】
標高・立地
標高約31m~34mの台地に位置します。
東棟の北東側は、現在は暗渠となっている谷沢川の流域です。
浸水深
敷地の一部に約1.3mの浸水可能性の指摘があります。
〔対水害総評〕
暗渠である谷沢川の流域にかかり、約1.3mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。
想定を超える大雨が発生した場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

3.その他の災害リスク

その他 Level  4/5 (大きな災害リスクなし)
接道状況 良好(接面道路幅員約11m)
系統連続性 普通
地域危険度 災害に強い地域
その他

接面道路

北西側(幅員約11m)、南西側(幅員約11m)、北東側(幅員約6m)、南東側(幅員約7.5m)の4本の区道と接面している4方路地です。東棟と西棟の間にも区道が整備されています。
周囲は区画が整備され、道路幅員も十分な広さがあるものの、一方通行路が多いため、系統連続性は「普通」と判断しますが、防災の観点からはマイナスはないです。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「玉川台2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。


※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、玉川台2丁目は9件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
特に東棟は、首都高速3号渋谷線沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

4.本マンションの総合評価

総合 Level  3/5
[対地震] Level  3/5 (リスク有)
[対水害] Level  3/5 (浸水リスク有)
[その他] Level  4/5 (大きな災害リスクなし)

地震リスク
埋没谷の影響がみられる地盤なので、地震時に揺れが大きくなる可能性があります。どっしりとした形状の建物ですが、地震の際に被害が生じる可能性は否定できません。
水害リスク
暗渠である谷沢川の流域にかかり、約1.3mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクは顕在です。
その他リスク
大きなリスクを感じるような要素なし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年10月