「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名　プラウド大井ゼームス坂

[所在地] 〒140-0004 東京都品川区南品川５丁目１１−４５

 標高・地形

●標高約12m～16m、台地の端にある傾斜地です。
●敷地の南東側一部が、昔、水が通った跡である凹地に掛かっています。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●ただ、大規模な擁壁等の築造は確認できないので、大きな傾斜地リスクはないと推察します。
●また、対象地は、12万年前～16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか？

 表層地盤増幅率

●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.63″です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低いと思われる場所です。
※地盤増幅率が”1.8″以上だと、地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6″以下です。

※ [J-SHIS Map(提供：防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

●敷地内及び近隣の同地形(台地)エリアに、公開されたボーリング調査地点はありません。
●少し離れていますが、大井町駅付近にある調査地点では、上述した埋没谷の影響とみられる少し柔らかい地層が深度約16m～32mに広がっています。
●近隣に調査地点がないものの、周辺に埋没谷の影響とみられる地層があるようなので、地盤の良い場所とはいえません。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

●2012年に竣工したどっしりとした形状のRC造地下1階地上11階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「安藤建設(現：安藤・間)」です。
●上から見た建物形状が、敷地の形状に合わせて、少し複雑になっていることが気にかかります。シンプルな形状の建物と比較すると損傷リスクは多少なりとも増大すると考えます。

 接面道路

●北西側区道(幅員約4m～13m)、南側私道(幅員4m)の2本の道路に接面している角地です。
●北西側接面区道は、第一京浜や都道420号線へのアクセスに問題はなく、系統連続性は良好です。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南品川5丁目」の地域危険度は”４”(※)であり、災害リスクが大きい地域であるとされています。
※地域危険度は、５段階評価で”１”が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南品川5丁目は21件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

●台地の端にあり、高低差が数mある傾斜地です。
●埋没谷の範囲に該当し、周辺のボーリング調査からも埋没谷の存在が推測されるエリアです。
●浸水可能性は指摘されていません。
●建物は、少し複雑な形状であり、多少の損傷リスクを認めます。
●接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

⇒埋没谷の範囲に該当し、周辺のボーリング調査でその存在が確認されるので、地盤リスクは無視できません。建物形状が少々複雑であることから、多少の損傷リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル４”とします。(５段階評価で５が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。