【防災力:4】パークハウス等々力一丁目

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークハウス等々力一丁目

[所在地] 〒158-0082 東京都世田谷区等々力1丁目1−1

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、宅地造成工事規制区域
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []2002年竣工の低層RC造建物
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

建物部分(建築面積に相当)の標高は約13m~16mです。敷地の一番低い場所は標高11mほどのようです。
地形的には谷底低地及び切土地に位置する緩やかな傾斜地です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、敷地の南側を流れる丸子川との間に高低差があるため、擁壁及び法面がみられます。
擁壁等も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
対象地を含む、丸子川に向かって下っている傾斜地の一帯は「宅地造成工事規制区域(旧法)」に指定されています。誤解を恐れずに大まかに説明すると、「許可なく工事をされると土砂災害等のリスクを生じる可能性がある傾斜地」であることを意味します。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【宅地造成工事規制区域】

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.47~1.75″です。
4つのメッシュにまたがっていますが、建物部分の多くが掛かっているメッシュは”1.69″なので、この数値を採用します。
都区内の武蔵野台地エリアではやや高い数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、
深度9mほどまでN値0~1の非常に柔らかい地層が続きます。
深度約11m~12mでN値50超の固い地層に到達する地点もありますが、一旦N値50超となった後に深度13mほどからN値3~7の地層が数m続く地点もあります。
柱状図の表記が15m~17mまでなので、埋没谷の影響も判断しづらく、支持層の深さも把握できません。
表層面が柔らかく、支持層の深さが不明なので、あまり良い地盤とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約0.7mの浸水可能性が指摘されています。
丸子川沿いですが、擁壁等により対象地は1段高くなっており、河岸とは3~4mの高低差があります。
丸子川の南側は、対象地の標高と比較して低いので、丸子川が溢水することがあっても、南方に流れる可能性が高いと考えます。
よって、対象地に大きな浸水リスクはないと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2002年3月竣工の低層RC造建物(地上4階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「西松建設」です。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

 接面道路

北側(幅員約6.2m)、東側(幅員約5.9m)の2本の区道と接面する角地です。
北側接面道路は一方通行路で、東側接面道路も生活道路なので、系統連続性は普通とします。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「等々力1丁目」の地域危険度は“1”(※)となっており、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、等々力1丁目は7件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

「宅地造成工事規制区域」に該当する傾斜地です。
周辺のボーリング調査も良いとはいえない結果です。
丸子川より一段高い場所に位置するので、大きな浸水リスクはないと判断します。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

「宅地造成工事規制区域」に該当する傾斜地で、周辺のボーリング調査もあまり良くないので、地盤リスクは顕在です。丸子川沿いの立地ですが、擁壁等により一段高い場所に位置するので、大きな浸水リスクはないと判断します。その他のリスクは低いので、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。