【防災力:1】東京ビューマークス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 東京ビューマークス

[所在地] 〒110-0012 東京都台東区竜泉2丁目7−7

防災力 Level 1
地盤 []地盤増幅率がかなり高い、軟弱地盤
浸水 []荒川氾濫リスク3m~5m他
建物 []少々縦長かつ複雑な形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約1m~2m、「砂州」に位置します。
「砂州」は、「海岸付近にあって波浪、沿岸流によってできた砂礫からなる微高地」です。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.8”です。
かなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺の同地形(砂州)にある調査地点では、
深度19mほどまで、N値0のズブズブの柔らかい地層が続きます。
深度23m~26mほどまで、N値3以下の柔らかい地層が続きます。
支持層の深さは、60mほどとなる可能性もあるようです。
地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続く、いわゆる「軟弱地盤」です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

荒川等の氾濫では、3m~5m未満の浸水可能性が指摘されています。
雨水出水(内水氾濫)により最大約0.9mの浸水可能性が指摘されています。
高潮により最大約0.4mの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、標高が低い場所に位置するので、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【台東区洪水ハザードマップ】

※ 荒川が氾濫した場合の浸水想定区域図

【雨水出水(内水氾濫)】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

 建物

2003年2月竣工のSRC造地下1階地上20階建です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
少し階数が高い縦長の建物2棟が接合したような配置です。
南棟は、西側が立体駐車場のためにオーバーハングのような形状となっている上に、東側の低層階は出っ張っています。
北棟は西側に11階建ほどの高さの建物が付着しています。
高さの異なる建物は地震の際の揺れも違うものとなります。そのため、シンプルな形状の建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

北西側国道(幅員30m超)、北側区道(幅員約6m)、東側区道(幅員約4m)、南側区道(幅員約6m)の4本の道路と接面する4方路地です。
区道との接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
昭和通り(国道4号線)に接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「竜泉2丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、竜泉2丁目は19件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
昭和通り沿いなので、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

「沖積層の堆積エリア」に該当する「砂州」に位置します。
表層地盤増幅率がかなり高い数値です。
ボーリング調査で、地中の深いところまで非常に柔らかい地層が続いている「軟弱地盤」であることが把握されます。
荒川氾濫により3m~5m未満等の浸水可能性が指摘されています。
少し縦長かつ複雑な形状なので、建物の損傷リスクを認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

表層地盤増幅率がかなり高い上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。荒川の氾濫で3m~5m未満の浸水リスク等が指摘されるなど、浸水リスクも非常に大きいです。建物の損傷リスクも加味した上で、防災力を“レベル1”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。