【防災力:3】ファミールヒルズ哲学堂公園

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ファミールヒルズ哲学堂公園

[所在地] 〒165-0024 東京都中野区松が丘2丁目19−9

防災力 Level 3
地盤 []高い擁壁を築造している傾斜地
浸水 []氾濫浸水区域内、約1mの浸水可能性
建物 []1996年竣工の低層RC造建物
火災 []統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約31m~38m、台地の縁から谷底低地にかかる傾斜地に位置します。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、建物の北側及び西に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.3~1.37”です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
北西方で近接する調査地点では、
表層はN値3以上あり、大きな問題のない地層です。
それ以降、深度8mほどでN値50超の固い地層となり、その下で再度N値20ほどの地層が挟まるものの、深度16m過ぎからはN値30超の地層が続きます。
5階建の部分があるので、支持層にN値50超が必要と考えると、支持層の深さは22mを超えるようです。
支持層がそれなりに深いので、マンション用地として良い場所とはいえませんが、表層面から支持層まで深度6mより下は比較的固い地層が大部分を占めると推察されるので、大地震の際に揺れが大きくなるようなリスクは感じません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地南東部に、最大約1mの浸水可能性が指摘されています。
当該箇所は屋外駐車場となっており、標高や地形からみても、なぜこの箇所に約1mもの浸水可能性が指摘されているのか、理解できません。
逆に、敷地西部は、浸水可能性が約0.7mの指摘にとどまりますが、「妙正寺川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置しますので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

1996年3月竣工の低層RC造建物(地上5階建)です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「前田建設工業」です。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
ただ、建物が少し古くなってきているので、修繕等のメンテナンスがきちんと行われているかのチェックは必須です。

 接面道路

西側、北側、南東側の3本の区道と接面する3方路地です。
中野区はこのエリアの道路幅員を公開していないので、道路幅員の詳細は不明ですが、いずれの道路も問題のない幅員があるように見えます。
新青梅街道(都道)は近いのですが、西側区道は一方通行路なので、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「松が丘2丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域とされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、松が丘2丁目は13件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”となっています。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率は優良レベルですが、台地の縁から谷底低地にかかる傾斜地に位置します。
ボーリング調査では、大きな地盤リスクの兆候は見出せませんでした。
敷地の一部が妙正寺川の氾濫浸水区域に掛かるとともに、約1mの浸水可能性が指摘される箇所があります。
低層RC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

高さのある擁壁を築造している傾斜地なので、地盤リスクは無視できません。また、敷地の一部が妙正寺川の氾濫浸水区域に掛かるとともに、約1mの浸水可能性が指摘される箇所があるので、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。