【防災力:4】センチュリーフォレスト

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 センチュリーフォレスト

[所在地] 〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町14−1

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、ボーリング調査が良くない
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []免震構造
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約25m~33m、台地から谷底低地に至る傾斜地(地形的には台地及び切土地)です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、敷地の東側に擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.49”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、
表層面には問題がなさそうですが、深度20m過ぎまでマンション用地としては柔らかい、N値20以下の地層が続きます。
支持層の深さは25mほどのようです。
地下水位の下に、砂質の地層が存在する地点が多く、液状化の可能性を否定できません。
埋没谷の影響が顕著に見える地点はありませんでした。
深度20m過ぎまで比較的柔らかい地層が続き、支持層がそれなりに深く、液状化の可能性も否定できないので、良い地盤とは言えません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の周縁部に、約0.4mの浸水可能性が指摘されています。
標高や地形からみると、指摘箇所は坂の上に当たり、なぜこの場所に浸水可能性が指摘されるのか理解できません。
また、指摘箇所は敷地の東側にある擁壁の下部分と思われることから、これが敷地全体に大きな影響を及ぼすことはないものと判断します。
※想定を超える大雨が降った場合には、内水氾濫の被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2011年8月竣工の中層RC造建物(地下1階地上6階建)です。
分譲・施工は、スーパーゼネコンの「鹿島建設」です。
免震構造を採用しており、建物損壊リスクは低いです。

 接面道路

東側区道(幅員約9m)に接面する中間画地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
前面道路は、片側一車線が整備された道路であり、幹線道路との接続も容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「鴬谷町」の地域危険度は“2”(※) であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、鴬谷町は8件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率は良好ですが、埋没谷エリアに該当する傾斜地です。
周辺のボーリング調査は、あまり良い結果ではありません。
大きな浸水リスクはないでしょう。
免震構造を採用しており、建物損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

埋没谷の範囲に該当する傾斜地に位置し、周辺のボーリング調査も良い結果ではありません。傾斜地リスクも含めた地盤リスクへの懸念は拭えません。本件マンションは免震構造を採用していますが、液状化の可能性も否定できない地盤なので、地盤リスクを無視することはできず、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。