【防災力:3】マスターテラス中野平和の森公園

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 マスターテラス中野平和の森公園

[所在地] 〒165-0027 東京都中野区野方2丁目4−6

防災力 Level 3
地盤 []表層地盤増幅率は良好
浸水 []氾濫浸水区域内で、約1.6mの浸水可能性
建物 []2009年竣工の中層RC造建物
火災 []接道状況及び系統連続性がやや劣る
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高35m前後、妙正寺川流域の谷底低地に位置します。
「液状化」「埋没谷」等の地盤ハザードエリアに該当しません。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.43~1.47”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
深度4m過ぎまでN値0の非常に柔らかい地層となっています。
それ以降、深度7m過ぎに一旦N値50の支持層レベルの固い地層となりますが、その下では柔らかい地層も混在し、深度20mほどではN値が14まで落ちます。
深度20mまでの表記しかなく、支持層の深さは把握できません。
周辺の調査地点を調べても、支持層の深さは把握できませんでした。
表層面が柔らかく、支持層が深いことが推察されるので、地盤が良いとはいえませんが、深度5mより下は比較的固い地層が大部分を占めるので、大地震の際に揺れが大きくなるようなリスクは感じません。

浸水リスク

最大約1.6mの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、赤い線で表示される「妙正寺川が氾濫した場合の浸水区域」内に位置しますので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2009年2月竣工の中層RC造建物(地上9階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「安藤建設(現:安藤・間)」です。
上から見ると、敷地の形状に合わせて、多少歪な形状をしていますが、全体的にはどっしりとした形状の中層RC造建物なので、大きな損壊リスクはないと判断します。

 接面道路

東側(幅員約5.9m)及び西側の2本の区道と接面する2方路地です。
中野区は西側区道の道路幅員を公開していないので、道路幅員の詳細は不明ですが、東側区道は緊急車両の通行に十分な広さがありますが、西側区道は狭隘箇所があるように見えます。
周辺には狭隘道路も散在する上に、東側区道は一方通行路です。系統連続性はやや劣るとします。
緊急車両に一方通行は関係ないとはいえ、対象地だけでなく、周辺の狭隘道路に囲まれた地区からの延焼リスクも考慮すると、火災時の災害リスクがないとはいえません。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「野方2丁目」の地域危険度は“5”(※)であり、災害リスクが最悪レベルの地域です。
総合危険度のランキングで、野方2丁目は、中野区で2番目に災害リスクが高い地区とされています。(1番高いのは「若宮1丁目」)
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、野方2丁目は37件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。

 本マンションの総評

妙正寺川流域の谷底低地に位置しますが、表層地盤増幅率は良好です。
ボーリング調査では、大きな地盤リスクの兆候は見出せませんでした。
妙正寺川の氾濫浸水区域内に位置し、約1.6mの浸水可能性が指摘されています。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
周辺に狭隘道路や一方通行路が多く、系統連続性はやや劣るとします。

表層地盤増幅率は良好で、ボーリング調査もさほど悪くはないので、大きな地盤リスクはないと判断します。ただ、浸水リスクは顕在で、想定を超える浸水被害を受ける可能性があります。火災リスクも多少は認めざるを得ません。また、野方2丁目が東京都の地域危険度測定調査で区内最悪レベルの災害リスクがある地区とされていることもマイナス評価です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。