【防災力:1】豊洲CIEL TOWER[シエルタワー]

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 豊洲CIEL TOWER[シエルタワー]

[所在地] 〒135-0061 東京都江東区豊洲5丁目5−1

防災力 Level 1
地盤 []液状化、地盤増幅率が非常に高い、軟弱地盤
浸水 []高潮約1.2m
建物 []タワー形状の高層建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約2m~3m、湾岸の埋立地(昭和初期に埋立)に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性が高い地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.01”です。
非常に高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
深度18m~22mほどまでN値1~2の柔らかい地層が続いています。
支持層の深さは、43m~44mと非常に深いようです。
地下水位の下に、砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性は高いです。
近隣には、深度30m近くまでN値1の地層が続く地点もあります。
地中の深いところまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性も高い、いわゆる「軟弱地盤」です。

浸水リスク

高潮により最大約1.2mの浸水可能性が指摘されています。
河川の氾濫等により、敷地の周縁部に0.5m未満の浸水可能性が指摘されています。
対象地は、標高3m未満の湾岸の埋立地に位置します。
昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【河川等が氾濫した場合等の浸水想定区域】

※重ねるハザードマップ (出典:「ハザードマップポータルサイト」)

 建物

2006年9月竣工のRC造地下1階地上40階建です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「清水建設」及び「巴コーポレーション」の共同企業体です。
縦長のタワー型高層マンションです。
タワー形状の高層マンションは、防災面からは良い点がありません。万が一、施工不良があった場合には即大きな建物損壊リスクに繋がりますし、発災後にエレベーターが動かなくなると、高層階の住民は難儀するでしょう。防犯面等のメリットはありますが、本サイトは”防災”の観点からの評価になりますので、高層建物というだけでマイナス評価とします。

【参照】タワーマンションを防災面では評価しない理由(より詳細に)

 接面道路

北東側都道(幅員約50m)、北西側都道(幅員約40m)、南西側区道(幅員約18m)の3本の道路に接面する3方路地です。
2本の都道が交差する角地なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「豊洲5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2024年累計」を見ると、豊洲5丁目は41件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。
運河に囲まれた立地です。大地震や大水害で、運河にかかる橋が損傷するなど、橋の通行に支障が生じる事態となると、避難や救助が遅れる可能性があります。

 本マンションの総評

「液状化の可能性が高い地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当する、湾岸の埋立地に位置します。
表層地盤増幅率が非常に高い数値です。
ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性も高い、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握できます。
高潮により約1.2mの浸水可能性等が指摘されています。
タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。
どこに向かうにも橋を渡る必要がある立地です。大災害の際に、橋の通行に支障が生じると、災害リスクが高まります。

液状化及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が非常に高い上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きいです。高潮で約1.2mの浸水可能性が指摘されています。タワー形状の高層建物なので、相応の災害リスクがあると判断します。更に橋の通行に支障が生じると災害リスクが増加する立地であることを考慮し、防災力を“レベル1”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。