【防災力:2】東京アクアージュ

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 東京アクアージュ

[所在地] 〒123-0842 東京都足立区栗原3丁目25−1

防災力 Level 2
地盤 []液状化、地盤増幅率が最悪レベル、軟弱地盤
浸水 []荒川等氾濫リスク最大1m
建物 []概ねシンプルかつどっしりとした形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高2mほど、東京東部の低地帯(一部、自然堤防)に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.55~2.64”です。
全国的にも最悪レベルの数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地の西側にある公開されたボーリング調査地点では、
深度26m近くまでN値1~3の柔らかい地層が続いています。
深度34m近くまでN値10以下の地層が存在します。
支持層の深さは、35m~36mのようです。
近隣にある複数の地点でも、似たような結果となっています。
地下水位の下に砂質の地層が存在しているので、液状化の可能性はそれなりに高いです。
地中の深いところまで柔らかい地層が続き、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

雨水出水(内水氾濫)では、最大約0.5mの浸水可能性が指摘されています。
荒川等の氾濫では、0.5m~1m未満の浸水可能性が指摘されています。
浸水可能性の指摘は、さほど大きな数値ではありませんが、荒川沿いで5m以上の浸水可能性が指摘されている箇所と対象地の標高差は1mあるかないかです。
昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【雨水出水(内水氾濫)での浸水区域】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【足立区洪水ハザードマップ】

荒川が氾濫した場合の浸水想定区域図

 建物

2003年2月竣工のRC造地上14階建です。
施工会社は、マンション建設を多く手掛ける「前田建設工業」です。
概ねシンプルかつどっしりとした形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

東側都道(幅員約20m)、北側区道(幅員約5.8m)、西側区道(幅員約6.5m~7.6m)、南側区道(幅員約5m)、南西側区管理道路(幅員約4m)の5本の道路に接面する4方路地です。
都道と北側区道以外の接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
都道と接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「栗原3丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、栗原3丁目は27件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

東京東部の低地帯に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率は全国的にも最悪レベルの数値です。
ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、液状化の可能性もある、いわゆる「軟弱地盤」であることが把握されます。
荒川等の氾濫により最大1m未満の浸水可能性が指摘されています。
建物自体の損壊リスクは大きくないと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

液状化及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が全国的にも最悪レベルである上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きく、マイナス2とします。浸水可能性自体は大きな数値ではありませんが、標高や地形からみて、浸水リスクがないとはいえない立地です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。