【防災力:4】常盤松ハウス

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 常盤松ハウス

[所在地] 〒107-0062 東京都港区南青山7丁目1−21

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、深刻なリスクはない
浸水 []昔の川筋で約0.6mの浸水可能性
建物 []1階レベルに段差のある建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約22m~28m、台地の端にある傾斜地です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震時の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.47″です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺の同地形(台地)に存する調査地点では、
深度12m過ぎまでN値10未満の、マンション用地としては柔らかい地層が続いています。
深度13m余りで支持層となるようです。
埋没谷の影響とみられる地層はみられません。
隣接するマンションの公式ホームページに「地表から約16.7m〜約21.2mの砂礫層の支持地盤」との記載があります。
浅い部分の地層もリスクを感じるほどの柔らかい地層ではなく、支持層がさほど深くないので、深刻な問題はない地盤であると推察します。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の一部に0.6mほどの浸水可能性が指摘されています。
浸水可能性が指摘されている箇所は、昔、渋谷川支流の流域であったと推測される谷底低地に位置します。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2021年6月竣工の中層RC造建物(地下3階地上7階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「安藤・間」です。
建物は、高低差のある土地に合わせて、1階のレベル(高さ)が北側と南側で異なっているように見えます。
平坦な場所にある建物と比較すると、多少の損傷リスクを認めます。

 接面道路

南東側(幅員約20m)、南西側(幅員約11.7m)の2本の区道に接面する2方路地です。
六本木通り(都道)との接続は容易なので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南青山7丁目」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南青山7丁目は17件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

高台の端にある傾斜地に位置します。
ボーリング調査からは、深刻な問題はみられません。
昔の川筋に位置し、約0.6mの浸水可能性が指摘されています。
1階レベルに段差のある建物なので、多少の損傷リスクを認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

表層地盤増幅率が良好で、ボーリング調査でも深刻な問題はみられないので、地震時に揺れが大きくなるようなリスクは低いと判断します。ただ、高低差が数mある土地なので、傾斜地リスクは認めます。昔の川筋に位置し、約0.6mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも計上します。また、1階レベルに段差のある建物なので、多少の損傷リスクを認めます。それぞれのリスクはさほど大きなものではないですが、合算することで、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。