【防災力:4】ザ・パークハウスグラン南青山

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・パークハウスグラン南青山

[所在地] 〒107-0062 東京都港区南青山5丁目4−11

防災力 Level 4
地盤 []ボーリング調査があまり良くない
浸水 []約1.1mの浸水可能性
建物 []2016年竣工の中層RC造建物
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約29m~33mの「凹地」に位置します。
凹地は、「台地・段丘や扇状地などの表面に形成された浅い流路跡や侵食谷。豪雨時に地表水が集中しやすい。」地形です。
敷地に高低差が約4mありますが、南西部分が高い土地となっており、敷地の過半はほぼ平坦です。
西側隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと隣地の土砂が敷地内に流れ込んだりするリスクがある土地ということもできます。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.51~1.55”です。
都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
同地形(凹地)に存する調査地点はないのですが、南東方の低地に存する調査地点では、
深度9m過ぎまでN値4ほどの柔らかい地層が続いています。
深度20mを過ぎてもN値20未満の、マンション用地としては柔らかい地層が続いています。
地下水位の下に砂質の地層が続いているので、液状化の可能性があります。
柱状図の表記が深度20mまでしかないので、支持層の深さは把握できません。
北方の台地に存する調査地点では、
深度9m過ぎまでN値3~5ほどの比較的柔らかい地層が続いています。
それ以降少しずつ固い地層となり、支持層には深度21m~26mほどで到達するようです。
地下水位の下に砂質の地層が存在する地点があるので、液状化の可能性は否定できません。
深度20m近くにある柔らかい地層は、埋没谷の影響である可能性があります。
凹地は、どちらかといえば低地の方が地形的に近いので、低地に存する地点を重視します。
液状化の可能性も感じられ、支持層も深いようなので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

最大約1.1mの浸水可能性が指摘されています。内水氾濫としては大きな数値です。
対象地の標高は、周囲と比較すると低い谷地状の場所であるため、周辺の水が集まりやすいという判断なのだと思われます。
地形としての凹地は、昔、水が流れた跡なので、地形的にも水が集まりやすい場所といえ、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2016年8月竣工の中層RC造建物(地下1階地上7階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

南東側区道(幅員約6.2m~7.1m)、北東側私道の2本の道路に接面する角地です。
接面している道路は、一方通行路と私道なので、系統連続性は普通とします。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南青山5丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南青山5丁目は29件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

埋没谷の範囲に含まれる「凹地」に位置します。
ボーリング調査は、液状化の可能性もあるなど、あまり良い結果ではありません。
台地に挟まれた凹地に位置し、最大約1.1mの浸水可能性が指摘されています。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

周辺のボーリング調査は、支持層が深い可能性があり、液状化の可能性もあるなど、あまり良い結果ではありませんので、相応の地盤リスクを計上します。台地に挟まれた凹地に位置し、最大約1.1mの浸水可能性が指摘されているので、浸水リスクも顕在です。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。