【防災力:4】ザ・パークハウス恵比寿南

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・パークハウス恵比寿南

[所在地] 〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2丁目30−1

防災力 Level 4
地盤 []埋没谷、ボーリング調査もいま一つ
浸水 []浸水可能性の指摘なし
建物 []建物形状が少し複雑
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約27m~29mの台地に位置します。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.38”です。
都区内で優良レベルであり、地震時の揺れが小さくなる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
西方にある調査地点では、
表層は4以上あるようです。
深度10mほどでN値2の柔らかい地層が挟まるなど、深度11mほどまでN値10以下の地層が続きます。
その後、少し固い層となりますが、深度15mほどに埋没谷の影響とみられるN値7の地層が入ります。
柱状図の表記が15mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
少し広く周辺の調査地点を見てみると、深度十数mに埋没谷の影響とみられるN値10未満の地層が連続している地点があります。支持層の深さは、20m前後のようです。
支持層が浅くはなさそうで、埋没谷の影響とみられる地層も確認できるので、マンション用地として良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、対象地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2019年7月竣工の中層RC造建物(地下2階地上9階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「西松建設」です。
建物は、少々複雑な形をしていますが、全体的にはどっしりとした形状の中層RC造建物なので、大きな建物損壊リスクはないものと判断します。

 接面道路

南東側(幅員約15m)、北西側(幅員約6m)、南西側(幅員約8.2m)、南側(幅員約4m)の3本の区道に接面する4方路地です。南東側以外の接面道路の敷地側は敷地後退をして歩道を整備しています。
北西側接面道路は、エントランスを出て北東方に向かうと幅員4m未満の箇所があります。北西に延びる道路を通れば幅員約8mを維持できますが、幹線道路へ直線的にはアクセスできないため、系統連続性は普通と判断します。
南東側接面道路は幅員も充分であり、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「恵比寿南2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に対して強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、恵比寿南2丁目は14件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

表層地盤増幅率が優良レベルの台地に位置します。
埋没谷の範囲に該当し、周辺のボーリング調査にも埋没谷の影響がみえます。
浸水可能性は指摘されていません。
建物は、少し複雑な形をしていますが、全体的にはどっしりとした形状の中層RC造建物なので、大きな建物損壊リスクはないと判断します。
南東側接面道路は幅員も充分であり、火災時の災害リスクは低いと判断します。

埋没谷の範囲に該当し、周辺のボーリング調査でもその影響とみられる地層が確認できるので、地盤リスクを無視できません。建物の形状が少し複雑であることのリスクも(小さいですが)加味して、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。