【防災力:4】ザ・パークハウス愛宕虎ノ門

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・パークハウス愛宕虎ノ門

[所在地] 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目19−15

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、ボーリング調査が良くない
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []全体的にはシンプルな形状
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約7m~17m、愛宕山崖下の谷底低地に位置します。
敷地は、高低差約10mの傾斜地です。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、東側隣地との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと土砂災害リスクが高くなる土地ということもできます。
対象地の裏手は指定されていませんが、同じ法面が「土砂災害警戒区域」および「土砂災害特別警戒区域」に指定されています。
対象地の一部(北西側接面道路沿い)は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.43”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
表層には、N値2の柔らかい地層があります。
柱状図に深度10mほどまでの表記しかありません。
地下水位の下に砂質の地層が広がっているので、液状化の可能性が認められます。
周辺にある複数の調査地点では、
表層は、N値1~2の非常に柔らかい地層が続きます。
支持層には、深度29mを超えても到達しないようです。
表層面が柔らかく、支持層が深い上に、液状化の可能性もあるので、地盤の良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。
対象地(の西側)は、周辺と比較して標高が低いので、ゲリラ豪雨の際など、周囲の水が集まる可能性があります。
対象地自体に浸水可能性は指摘されていませんが、前面道路には、多少の浸水可能性が指摘されているので、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2012年2月竣工のRC造地下1階地上13階建です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
東側の一角が少しズレたような形ですが、全体的にはシンプルな形状であり、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

 接面道路

北西側(幅員約8m)に接面する中間画地です。
桜田通り(国道1号線)とは近いですが、前面道路は一方通行路なので、系統連続性は普通とします。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「虎ノ門3丁目」の地域危険度は”1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、虎ノ門3丁目は10件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。

 本マンションの総評

沖積層エリアに該当する、、高低差10mほどもある傾斜地です。
ボーリング調査も、液状化の可能性がみられるなど、良い結果ではありません。
浸水可能性は指摘されていませんが、地形的に浸水リスクがないとはいえません。
全体的にはシンプルな形状の建物であり、損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

⇒沖積層エリアに該当する、高低差10mほどもある傾斜地に位置し、ボーリング調査も良い結果ではないので、地盤リスクは無視できません。浸水可能性も感じる立地ですが、ハザードマップでの指摘はないので、大きな浸水リスクはないと判断します。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。