【防災力:2】ザ・パークハウス青砥

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・パークハウス青砥

[所在地] 〒125-0062 東京都葛飾区青戸7丁目32−3

防災力 Level 2
地盤 []液状化、沖積層、地盤増幅率及びボーリング調査が悪い
浸水 []高潮約2.3m、荒川氾濫3.0m未満の浸水可能性
建物 []概ねシンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約1m~2m、自然堤防に位置します。
「自然堤防」は、洪水時に運ばれた砂等が、流路沿いに堆積してできた微高地です。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、敷地のほとんどが「液状化の可能性がある地域」に、一部が「液状化の可能性が高い地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.89~1.98”です。
かなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺の同地形(自然堤防)にある調査地点では、
深度13mほどまでN値1の非常に柔らかい地層が広がる地点が複数あります。
深度30mを超えてもN値10ほどの地層が存在するようです。
支持層の深さは59mを超えるようです。
地下水位の下に砂質の地層が広がる地点も複数あるので、液状化の可能性は否定できません。
地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、支持層も非常に深く、液状化の可能性もあるので、地盤リスクの大きな場所です。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮で、最大約2.3mの浸水可能性が指摘されています。
荒川の氾濫では、0.5m~3.0m未満の浸水可能性が指摘されています。
対象地は、中川の河岸に位置します。昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【葛飾区洪水ハザードマップ】

荒川が氾濫した場合の浸水想定区域図

 建物

2013年6月竣工のRC造地上20階建です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
少し階層は高いですが、概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

葛飾区は、区道の幅員情報をWEB公開していないため詳細は不明ですが、敷地周辺には、十分な幅員の区道が整備されています。
接道部分では、敷地後退をして歩道等を整備しています。
西方にある環七通り(都道)との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「青戸7丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、青戸7丁目は15件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。

 本マンションの総評

中川沿いの「自然堤防」に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率はかなり高い数値です。
ボーリング調査でも、地中の深いところまで柔らかい地層が存在し、支持層も非常に深く、液状化の可能性もあることが把握できるので、地盤リスクの大きな場所です。
高潮により約2.3m、荒川氾濫により3.0m未満の浸水可能性が指摘されています。
建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「液状化の可能性がある地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率がかなり高く、ボーリング調査も悪いので、地盤リスクは大きいです。高潮及び荒川の氾濫リスクも顕在なので、浸水リスクも大きいです。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル2”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。