【防災力:1】ザ・グランアルト錦糸町

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・グランアルト錦糸町

[所在地] 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2丁目19−14

防災力 Level 1
地盤 []液状化、沖積層、地盤増幅率が非常に高い、軟弱地盤
浸水 []高潮リスク約3.9m、荒川氾濫リスク約3.0m
建物 []シンプルな形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約0m、東京東部の低地帯(大規模盛土地)に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”2.5”です。
全国的にも最悪レベルの数値であり、大地震時に震度7となる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
西側隣地にある調査地点では、
表層の固さはN値4以上あり、問題ありません。
ただ、深度7m~30mほどまで、N値0~2の非常に柔らかい地層が続きます。
支持層の深さは、41m過ぎとなるようです。
地下水位の下に、砂質の地層が存在するので、液状化の可能性は否定できません。
本件マンションの公式ホームページに、支持層の深さが「約40m~44m以深」であるとの記載があります。
地中の深いところまでズブズブともいえる非常に柔らかい地層が続く上に、液状化の懸念もあり、「軟弱地盤」ともいえる場所なので、地盤リスクは非常に大きいです。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮により最大約3.9mの浸水可能性が指摘されています。
雨水出水により最大約0.5mの浸水可能性が指摘されています。
荒川の氾濫では、1.0m~3.0m未満の浸水可能性が指摘されています。
高潮の浸水も、荒川の氾濫による浸水も、昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【雨水出水】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

【隅田区洪水ハザードマップ】

荒川が氾濫した場合の浸水想定区域図

 建物

2012年12月竣工のRC造地上21階建です。
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
少し階数は高いですが、シンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

南側(幅員約8.1m)、西側(幅員約4m)の2本の区道に接面する角地です。南側の接道部分では、敷地後退をして歩道を拡張しています。
南方にある京葉道路(国道)との接続は容易であり、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「江東橋2丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、江東橋2丁目は42件となっており、治安は“5段階で4番目の治安が悪いレベル”です。

 本マンションの総評

東京東部の低地帯に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率が全国的にみても非常に高い数値です。
ボーリング調査でも、液状化の可能性がみられるなど、軟弱地盤といえる場所です。
高潮により約3.9m、荒川氾濫により約3.0m未満等の浸水可能性が指摘されています。
シンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

「液状化の可能性がある地域」及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率が全国的にみても最悪レベルな上に、ボーリング調査でも「軟弱地盤」といえる結果なので、地盤リスクは非常に大きく、マイナス2とします。約3.9mもの高潮リスクが認められる上に、荒川の氾濫リスク等もあり、浸水リスクも非常に大きいので、マイナス2とします。よって、防災力を“レベル1”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。