【防災力:3】ザ・ガーデンズ東京王子

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 ザ・ガーデンズ東京王子

[所在地] 〒114-0002 東京都北区王子5丁目1−1他

防災力 Level 3
地盤 []液状化、地盤増幅率及びボーリング調査が良くない
浸水 []高潮約0.6m、荒川氾濫3m未満の浸水可能性
建物 []概ねシンプルな形状
火災 []系統連続性は普通
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約4m~5m、東京東部の低地帯に位置します。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では、カームコートの敷地の一部が「液状化の可能性がある地域」に含まれています。
対象地は、最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.94”です。
かなり高い数値であり、大地震時に震度7となる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
対象地より西方にある調査地点では、
深度6mほどでN値20超の地層となる地点が多いようです。
支持層の深さは把握できませんが、深度15mほどから下はN値30以上あるようです。
対象地より東方にある調査地点では、
深度18mほどまでN値1以下の非常に柔らかい地層が続いています。
支持層の深さは24m~25mほどと推測されます。
地下水位の下に砂質の地層が存在する地点があるので、液状化の懸念は払拭できません。
対象地より西方の地盤に大きな問題はないようですが、東方は「軟弱地盤」に近い内容です。
敷地内のボーリング調査がない段階では、保守的に判断し、地盤リスクはそれなりに大きいとします。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

高潮により最大約0.6mの浸水可能性が指摘されています。
荒川の氾濫では、0.5m~3m未満の浸水可能性が指摘されています。
浸水リスク検索サービスでは最大約0.4mの浸水可能性が指摘されています。
対象地は、隅田川河岸との標高差が2~3mです。昨今「想定外」の災害が毎年のように起きていることを想起しますと、ハザードマップの想定を超える事態はあり得ます。

【高潮ハザードマップ】

※ [東京都港湾局] → [高潮リスク検索サービス]

【北区洪水ハザードマップ】

※ 荒川が氾濫した場合の浸水想定区域図

【雨水出水】

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

[エアリーコート] 2018年1月竣工のRC造地上18階建
[ブルームコート] 2018年6月竣工のRC造地上18階建
[カームコート] 2018年6月竣工のRC造地上11階建
施工会社は、大手ゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。
概ねシンプルな形状なので、建物自体の損壊リスクは低いでしょう。

【参照】耐震等級“1”のマンションは震度7に耐えられない?

 接面道路

西側(幅員約9m~9.8m)、南側(幅員約7.3m~7.6m)、東側(幅員約8.1m~8.6m)の3本の区道に接面する3方路地です。
国道122号線との接続に支障となる箇所はありませんが、直線的には接続できず、周囲には一方通行路や少し狭い道路もあるため、系統連続性は普通と判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「王子5丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、王子5丁目は73件となっており、治安は“5段階で最悪レベル”です。

 本マンションの総評

東京東部の低地帯に位置し、「液状化の可能性がある地域」及び「沖積層の堆積エリア」に該当します。
表層地盤増幅率はかなり高い数値です。
ボーリング調査での判断が難しい場所ですが、対象地の東方は「軟弱地盤」に近いことから、地盤リスクはそれなりに大きいと判断します。
高潮により約0.6m、荒川氾濫により3m未満等の浸水可能性が指摘されています。
建物自体の損壊リスクは低いと判断します。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

液状化及び沖積層エリアに該当し、表層地盤増幅率がかなり高い上に、ボーリング調査も良くない結果なので、地盤リスクは大きいです。高潮リスクや荒川氾濫リスクもあるので、浸水リスクも顕在です。よって、防災力を“レベル3”とします。 (5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。