【防災力:4】クオリア広尾

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 クオリア広尾

[所在地] 〒150-0012 東京都渋谷区広尾1丁目14−15

防災力 Level 4
地盤 []ボーリング調査が比較的良好
浸水 []川沿いで、約1.2mの浸水可能性
建物 []少し縦長かつ複雑な形状
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約10m~12mの谷底低地に位置します。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.49”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある調査地点では、深度5m~6mほどでN値50の地層となる場所が多く、対象地周辺の谷底低地エリアに大きな地盤リスクはないのではないかと推察します。
確認できた範囲では、埋没谷の影響とみられる地層は把握できませんでした。
※敷地内及び近隣に新たなボーリング調査地点が公開された場合には、地盤リスクの評価を見直す可能性があります。

浸水リスク

渋谷川沿いの立地で、敷地の一部に1.2mほどの浸水可能性が指摘されています。
ただ、建物部分(建築面積に相当する部分)は約0.2mの浸水可能性の指摘にとどまっています。
敷地の南側は、渋谷川の「河川が氾濫した場合の浸水区域」に含まれますので、想定を超える大雨が降った際には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2004年3月に竣工したSRC造建物(地下1階付14階建)です。
施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
形状は、少し縦長で、上から見るとL字状になっており、横長のシンプルな形状の建物と比較すると、大地震の際に建物が損傷するリスクは多少高まると考えます。

 接面道路

北側都道(幅員約27m~28m)、東側区道(幅員約7m)の2本の道路に接面する角地です。
明治通り(都道)に接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「広尾1丁目」の地域危険度は“1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、広尾1丁目は19件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
明治通り沿いであることから、気管支や肺に病気を持つお子さんがいるファミリーにはお勧めできません。

【参照】幹線道路沿いの物件を勧めない理由

 本マンションの総評

埋没谷の範囲に該当する谷底低地に位置しますが、表層地盤増幅率は良好です。
ボーリング調査は、比較的良好な結果です。
渋谷川沿いの立地なので、想定を超える浸水被害はあり得ます。
建物は少々縦長かつ複雑な形状ですので、多少の損傷リスクを認めます。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

埋没谷の範囲に該当する谷底低地に位置しますが、ボーリング調査が比較的良好な結果なので、大きな地盤リスクはないと判断します。川沿い立地なので浸水リスクは顕在で、建物も横長のシンプルな形状の建物と比較すると、わずかながら損傷リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。