【防災力:4】プラウド成城

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族のと”財産を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 プラウド成城

[所在地] 〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷3丁目17−22

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、埋没谷
浸水 []浸水可能性の指摘はないが、仙川沿い
建物 []低層RC造建物
火災 []大きな問題はない
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約37m~42mの「台地の縁」です。台地を削るようにして流れる仙川沿いに位置し、地形的には川に向かっての傾斜地となります。傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、川沿いの通路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
更には、対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.44~1.61”です。
都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性のある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
N値1の地層も含め、深度8m過ぎまで概ねN値3以下の柔らかい地層が続きます。
一旦、固い地層となりますが、深度13m~23mに埋没谷の影響とみられるN値3を含むN値10未満の柔らかい地層が続きます。
支持層には深度25m余りで到達するようです。
周辺の調査地点でも、概ね同様の地盤で、支持層の深さは24m~25mほどのようです。
埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が深度23mほどまで続くので、地盤の良い場所ではありません。

浸水リスク

浸水可能性は指摘されていません。
ただ、対象地の西方には仙川が流れており、予想外の大雨の際には、ハザードマップの想定を超えて浸水する可能性も考えられます。
昨今の災害事例を顧みても、ハザードマップは、あくまで過去の経験を基にした”想定”であることを認識すべきだと思います。
川から離れた高台の平坦地と比較すると、「浸水リスクを感じない安全な場所である」とは言えません。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2005年3月竣工の低層RC造建物(地上5階建)です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「竹中工務店」です。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。

 接面道路

北側(幅員約4.8m)、南東側(幅員約4m)の2本の区道に接面する2方路地です。
対象地周辺に広がる街路は、幅員4m未満の細街路は少ないものの、上下2車線が整備された広い道路も少なく、幹線道路にアクセスするのにそれなりに時間を要します。そのため、系統連続性は「やや劣る」と判定します。
救急車両の通行に支障があるほどの問題ではなく、接道状況及び系統連続性に大きな問題はないので、火災時の災害リスクは問題のない範囲と判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「祖師谷3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、祖師谷3丁目は24件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
成城学園の施設が近接しており、騒がしく感じる可能性があります。

 本マンションの総評

仙川が切り開いた「台地のヘリ」に位置し、川に向かっての傾斜地です。
表層地盤増幅率の数値は高くないですが、埋没谷のエリアに該当します。
ボーリング調査では、埋没谷の影響がみられる結果となり、地盤の良い場所とはいえません。
浸水可能性は指摘されていませんが、仙川沿いですので、可能性はわずかだとは思いますが、想定を超える浸水被害はあり得ます。
低層RC造建物なので、損壊リスクは低いです。
接道状況及び系統連続性に大きな問題はなく、火災時の災害リスクは問題のない範囲と判断しますが、系統連続性は「やや劣る」場所であることも付記します。

仙川に至る傾斜地に位置し、ボーリング調査でも埋没谷の影響がみられるので、地盤リスクは無視できません。浸水リスクもわずかに認め、火災リスクも相対的には多少あることから、これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

※地盤リスクに関しては、対象地付近に公開されたボーリング調査地点がなく、「埋没谷」の影響を推察することができなかったための暫定評価とします。対象地や隣接地のボーリング調査の結果等が明らかになり「埋没谷」の影響が判明した場合には、地盤リスクの評価を見直す可能性があります。

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。