【防災力:3】プラウド成城

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることができる不動産なのか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 プラウド成城

 

1.大地震が発生しても安全か

地震に強いとはいえない

対地震 Level  3/5 (リスク有)
地盤ハザード [3/5]「埋没谷」に該当
地盤増幅率 [2/5]標準的
ボーリング [2/5]埋没谷の影響あり
建物 [5/5]2005年竣工の低層RC造建物
【対地震の評価】
地盤
「埋没谷」エリアに該当し、ボーリング調査でも、その影響とみられる地層が地中深くに続いているので、相応の地盤リスクがあると判断します。
建物
2005年竣工の低層RC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いです。
〔対地震総評〕
埋没谷の影響がみられる地盤なので、地震時に揺れが大きくなる可能性があります。低層RC造建物ですが、地震時に被害が発生する可能性は否定できません。

[所在地] 〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷3丁目17−22

標高・地形

標高 約37m~42m
地形 台地の縁

台地を削るようにして流れる仙川沿いに位置し、地形的には川に向かっての傾斜地となります。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、川沿いの通路との境界に高低差があるため擁壁を設置しており、擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。


※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

地盤ハザード(災害危険)エリア

液状化 該当なし
沖積層 該当なし
埋没谷 範囲に該当
急傾斜等 該当なし

12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

表層地盤増幅率

表層地盤増幅率 1.44~1.61

標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。


※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

ボーリング調査

敷地内にある公開されたボーリング調査地点では、
N値1の地層も含め、深度8m過ぎまで概ねN値3以下の柔らかい地層が続きます。
一旦、固い地層となりますが、深度13m~23mに埋没谷の影響とみられるN値3を含むN値10未満の柔らかい地層が続きます。
支持層には深度25m余りで到達するようです。
周辺の調査地点でも、概ね同様の地盤で、支持層の深さは24m~25mほどのようです。
埋没谷の影響とみられる柔らかい地層が深度23mほどまで続くので、地盤の良い場所ではありません。

建物

築年 2005年3月竣工
構造 RC造地下1階地上4階建
施工会社 竹中工務店
その他

低層RC造建物なので、建物自体の損壊リスクは低いです。

2.1000年に一度の大水害が発生しても安全か

対水害 Level  4/5 (大きな浸水リスクなし)
標高 約37m~42m
地形 台地の縁にある傾斜地
浸水深 なし
【対水害の評価】
標高・地形
標高約37m~42mの台地の縁にある傾斜地に位置します。
対象地の西方には仙川が流れており、予想外の大雨の際には、ハザードマップの想定を超えて浸水する可能性も考えられます。
浸水深
浸水可能性は指摘されていません。
ただ、昨今の災害事例を顧みても、ハザードマップは、あくまで過去の事例を基にした”想定”であることを認識すべきだと思います。
〔対水害総評〕
浸水可能性の指摘はありませんが、川から離れた高台の平坦地と比較すると、「浸水リスクを感じない安全な場所である」とはいえません。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が発生する可能性がある立地です。


※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

3.その他の災害リスク

その他 Level  4/5 (大きな災害リスクなし)
接道状況 普通(接面道路幅員約4.8m)
系統連続性 やや劣る
地域危険度 災害に比較的強い地域
その他

接面道路

北側(幅員約4.8m)、南東側(幅員約4m)の2本の区道に接面する2方路地です。
対象地周辺に広がる街路は、幅員4m未満の細街路は少ないものの、上下2車線が整備された広い道路も少なく、幹線道路にアクセスするのにそれなりに時間を要します。そのため、系統連続性は「やや劣る」と判定します。
救急車両の通行に支障があるほどの問題ではなく、接道状況及び系統連続性に大きな問題はないので、火災時の災害リスクは問題のない範囲と判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「祖師谷3丁目」の地域危険度は“2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。


※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、祖師谷3丁目は24件となっており、治安は“5段階で2番目に安全なレベル”です。
成城学園の施設が近接しており、騒がしく感じる可能性があります。

4.本マンションの総合評価

総合 Level  3/5
[対地震] Level  3/5 (リスク有)
[対水害] Level  4/5 (大きな浸水リスクなし)
[その他] Level  4/5 (大きな災害リスクなし)

地震リスク
埋没谷の影響がみられる地盤なので、地震時に揺れが大きくなる可能性があります。低層RC造建物ですが、地震時に被害が発生する可能性がないとはいえません。
水害リスク
浸水可能性の指摘はありませんが、川から離れた高台の平坦地と比較すると、「浸水リスクを感じない安全な場所である」とはいえません。
その他リスク
大きなリスクを感じるような要素なし

⇒これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル3”とします。
(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。

評価時点》2025年10月