【防災力:4】プレミスト南青山

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 プレミスト南青山

[所在地] 〒107-0062 東京都港区南青山6丁目1−13

防災力 Level 4
地盤 []ボーリング調査があまり良くない
浸水 []大きな浸水リスクなし
建物 []2014年竣工の中層RC造建物
火災 []接道状況及び系統連続性は良好
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約29m~31m、敷地の北側が「凹地」、南側が「切土地」に位置します。
凹地は、「台地・段丘や扇状地などの表面に形成された浅い流路跡や侵食谷。豪雨時に地表水が集中しやすい。」地形です。
対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震時の揺れが大きくなる可能性があります。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]

【参照】地下に「埋没谷」があると、何が悪いのか?

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.51~1.54”です。
都区内では比較的低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性がある場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
凹地に存する調査地点はないのですが、東方の低地に存する調査地点では、
深度9m過ぎまでN値4ほどの柔らかい地層が続いています。
深度20mを過ぎてもN値20未満の、マンション用地としては柔らかい地層が続いています。
南西方の台地に存する調査地点では、
深度7m過ぎまでN値3以下の柔らかい地層が続いています。
一旦固い地層となった後、深度11m~16mほどまでN値2~3の柔らかい地層が続きます。
地下水位の下に砂質の地層が存在する地点があるので、液状化の可能性は否定できません。
どちらの地点も柱状図の表記が深度20mまでしかなく、支持層の深さは把握できません。
深度20m近くにある柔らかい地層は、埋没谷の影響である可能性があります。
液状化の可能性が感じられ、支持層も深い可能性があるので、地盤の良い場所とはいえません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

敷地の一部に0.1mほどの浸水可能性が指摘されています。
敷地全体に大きな影響を与えることはないと考えますが、敷地の北東側は「凹地」に位置し、周囲の標高と比較して低い場所となっています。
想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性のある立地です。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2014年2月竣工の中層RC造建物(地下2階地上8階建)です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「清水建設」です。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。

 接面道路

南東側都道(幅員約15m)、北西側区道(幅員約6.6m~7.3m)の2本の道路に接面する2方路地です。
都道と接面しているので、系統連続性は良好です。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「南青山6丁目」の地域危険度は”1”(※)であり、災害に強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、南青山6丁目は28件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

埋没谷の範囲に含まれる「凹地」及び「切土地」に位置します。
ボーリング調査は、液状化の可能性もあるなど、あまり良い結果ではありません。
凹地に位置しますが、大きな浸水可能性は指摘されていません。
中層RC造建物なので、損壊リスクは低いでしょう。
接道状況及び系統連続性は良好であり、火災時の災害リスクは低いです。

周辺のボーリング調査は、支持層が深い可能性があり、液状化の可能性もあるなど、あまり良い結果ではありませんので、相応の地盤リスクを計上します。敷地の北側は台地に挟まれた凹地に位置し、水が集まる場所とも思えるのですが、浸水可能性の指摘が小さい数値なので、浸水リスクは多少計上するにとどめます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。