【防災力:4】パークハウス池田山公園 白金台の杜
「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。
物件名 パークハウス池田山公園 白金台の杜
[所在地] 〒141-0022 東京都品川区東五反田4丁目1−27
防災力 | Level 4 |
地盤 | [3]傾斜地、崖下、沖積層及び埋没谷エリア |
浸水 | [4]大きな浸水リスクなし |
建物 | [3]E棟は少し複雑な形状 |
火災 | [4]系統連続性は普通 |
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら) |
標高・地形
●標高10m~19m、目黒川支流の流域にある谷底低地から台地に立ち上がる傾斜地です。
●傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがありえます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
●E棟の西側には、擁壁等が築造されているように見えます。これらも築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
●また、対象地の後背地は、標高差数mの崖地です。土砂崩れ被害のリスクもありそうです。
●W棟の西側は最も新しい地層である「沖積層」の堆積エリアに含まれます。沖積層は、まだ固まり切っていない軟弱な地層であり、地震時に揺れやすい傾向があります。
●対象地は、12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲に該当しますので、大地震の際の揺れが大きくなる可能性があります。
※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]
※ [土砂災害警戒区域等マップ(東京都)] → [土砂災害警戒区域]タブ
表層地盤増幅率
●表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.59”です。
●都区内の武蔵野台地エリアでは標準的な数値であり、地震時の揺れが大きくなる可能性は低い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。
※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]
【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)
近隣のボーリング調査
●敷地内にある2ヵ所の公開されたボーリング調査地点では、
▼表層は、N値4以上あるようであり、都区部としては問題ありません。
▼いずれも柱状図は20mまでしか記載がなく、支持層の深さは把握できません。
▼地下水位の下に砂質の地層も見られるので、液状化の可能性もないとはいえません。
●対象地の北方にある公園内と思われる調査地点では、深度26m過ぎにN値5ほどの地層が始まり、埋没谷の影響が見られます。この地点でも、27mまでしか記載がなく、支持層の深さは把握できませんでした。
●表層面に問題はなさそうですが、液状化の可能性を感じさせる上、支持層が深そうなので、マンション用地として、あまり良い地盤ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。
浸水リスク
●敷地の周縁部に約0.1mの浸水可能性が指摘されています。
●対象地は、地形的には谷底低地に当たります。谷底低地というのは昔、川が流れていた跡なので、想定を超える大雨が降った場合には、被害が拡大する可能性があります。
※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]
建物
●2005年11月竣工のRC造地下1階地上10階建です。
●施工会社は、準大手ゼネコンの「東急建設」です。
●W棟は全体的にはシンプルな形ですが、E棟は少し複雑な形です。シンプルな形状の建物と比較すると、損傷リスクを多少認めます。
接面道路
●西側(幅員約8.5m)、北側(幅員約4.6m)の2本の区道に接面する角地です。接道部分では、敷地後退をして歩道を整備しています。
●幹線道路まで直線的にアクセスできる道路はないので、系統連続性は普通と判断します。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。
地域危険度調査
東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「東五反田4丁目」の地域危険度は”2”(※)であり、災害に比較的強い地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。
周辺環境他
「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、東五反田4丁目は6件となっており、治安は“5段階で1番安全なレベル”です。
本マンションの総評
●沖積層及び埋没谷エリアに該当する傾斜地です。
●ボーリング調査もあまり良い結果ではありません。
●大きな浸水リスクはないでしょう。
●E棟は少し複雑な形なので、建物損傷リスクを多少認めます。
●接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いでしょう。
⇒沖積層及び埋没谷エリアに該当する傾斜地で、ボーリング調査もあまり良い結果ではないので、地盤リスクは小さくないでしょう。大きな浸水リスクはないと思われますが谷底低地に立地していますし、建物も少し複雑な形状なので多少の損傷リスクを認めます。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)
≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。