【防災力:4】パークコート本郷真砂

「東南海トラフ地震」「首都直下地震」等の大地震や、千年に一度といわれるような「スーパー台風」「線状降水帯豪雨」等の大水害等に遭遇しても、家族の”命”と”財産”を守ることのできる可能性が高い不動産であるか否かを簡易評価します。
災害に強い不動産は資産性も保たれます。
※建物が壊れたら資産性どころの話ではないので。

物件名 パークコート本郷真砂


[所在地] 〒113-0033 東京都文京区本郷4丁目8−17

防災力 Level 4
地盤 []傾斜地、液状化
浸水 []建物部分に浸水可能性の指摘なし
建物 []少し縦長かつ複雑な形状
火災 []系統連続性は普通(やや優る)
※5段階評価で5が最も安全(判断基準はこちら)

 標高・地形

標高約14m~22m、谷底低地に向かって傾斜する、台地の端に位置しています。
傾斜地の場合、表層面が高い方から低い方へと動こうとする自然の力が働きます。そのため、長い年月の間に地面がずれることがあり得ます。コンクリートでガチガチに固めているので問題ないと見る向きもありますが、平坦地と比較したら、地盤リスクがないとはいえません。
また、敷地の北側には、数段に分かれていますが擁壁が築造されています。擁壁も築年が古くなると補修が必要となります。修繕費用(保守管理費用)が必要というコスト面の問題だけでなく、メンテナンスしないと地盤リスクが高くなる土地ということもできます。
東京都建設局が公開している「東京の液状化予測図」では「液状化の可能性がある地域」に含まれています。

※ [国土地理院地図] → [土地の成り立ち・土地利用] → [土地条件図]


※ 東京都建設局 → [東京の液状化予測図]

 表層地盤増幅率

表層地盤における地震時の揺れの大きさを示す地盤増幅率は”1.4”です。
都区内では低い数値であり、地震時の揺れが小さく抑えられる可能性が高い場所です。
※地盤増幅率が”1.8”以上だと地盤が弱い(揺れやすい)とされます。推奨レベルは”1.6”以下です。

※ [J-SHIS Map(提供:防災科学技術研究所)] → [表層地盤]

【参照】高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

近隣のボーリング調査

敷地内に公開されたボーリング調査地点はありません。
周辺にある複数の調査地点の柱状図では、
深度約7m~8mまでN値3ほどの柔らかい地層が続きます。
その後、固い地層が挟まりますが、N値10~20くらいの少し柔らかい地層が深度35mまでの過半を占めます。
支持層には深度40m前後に到達するようです。
地下水位の下に、砂質の地層が存在する地点もありますが、ほとんどの部分がN値20を超えているようなので、液状化の可能性は大きくないと考えます。
深い部分にも柔らかい地層が存在するので、地盤が良い場所ではありません。
※地層は、数メートル離れただけで大きく変わることがあるので、購入の際には、当該地の地盤調査報告書を取り寄せましょう。

浸水リスク

建物部分(建築面積に相当)に、浸水可能性は指摘されていません。
敷地北側の駐車場部分には、最大約0.7mの浸水可能性の指摘があります。
敷地の北側部分は、昔の谷筋に位置しているため、想定を超える大雨が降った場合には、浸水被害が拡大する可能性があります。

※ [東京都建設局 浸水予想区域図] → [浸水リスク検索サービス]

 建物

2007年2月竣工のRC造地下2階地上13階建です。
施工会社は、スーパーゼネコンの「清水建設」です。
建物は、少し縦長で複雑な形状をしています。横長でシンプルな形状の建物と比較すると、多少の建物損傷リスクを認めます。

 接面道路

西側(幅員約6m~7m)、北東側(幅員約4m)の2本の区道と接面している2方路地です。
春日通り(国道254号線)へのアクセスは容易ですが、西側接面道路は北方で車両は行き止まりとなる道路なので、系統連続性は普通(やや優る)とします。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

地域危険度調査

東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」によると、「本郷4丁目」の地域危険度は“3”(※)であり、災害リスクが多少残る地域であるとされています。
※地域危険度は、5段階評価で1が最も安全であることを示しています。

周辺環境他

「警視庁犯罪情報マップ」の「全刑法犯発生数2023年累計」を見ると、本郷4丁目は25件となっており、治安は“5段階で3番目のレベル”です。

 本マンションの総評

「液状化の可能性がある地域」に含まれる傾斜地で、周辺のボーリング調査もあまり良くありません。
建物部分(建築面積に相当)に、浸水可能性は指摘されていません。
斜面に建つ、少し縦長かつ複雑な形状の建物なので、建物損傷リスクを多少認めます。
接道状況及び系統連続性に問題はなく、火災時の災害リスクは低いと判断します。

「液状化の可能性がある地域」に含まれる傾斜地で、周辺のボーリング調査もあまり良くないため、地盤リスクを無視できません。建物も、傾斜地に建つ上に、少し縦長かつ複雑な形状となっています。これらを総合的に勘案し、防災力を“レベル4”とします。(5段階評価で5が最も安全)

≪注意事項≫
1. 本件評価は、不動産鑑定評価の手法に則ったものではありません。公開された情報のみを根拠とした「簡易評価」であり、実際に購入の判断をする際には、より詳細な調査が必要となります。
2. 本件評価の「リスク評価」は相対的なものです。防災上、“絶対に安全”といえる立地はありません。
3. 本件評価により損害や紛争が発生した場合でも、当社は責任を負いません。